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相続税対策に効く生命保険活用術〜設計から契約実務までの要点〜

相続税対策に効く生命保険活用術〜設計から契約実務までの要点〜

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執筆者:

公開:

2025.04.04

更新:

2025.04.04

定期保険相続生命保険変額保険

相続対策を考えるうえで、不動産や現金の分配だけでなく、「生命保険の活用」にも目を向けてみませんか?

生命保険は、納税資金の準備や相続税の軽減、公平な資産分配をサポートする有効な手段の一つです。本記事では、生命保険が相続の場面でどのように役立つのか、基本的な活用法から具体的な事例まで丁寧に解説します。将来の備えとして、知っておいて損はない知識が満載です。

サクッとわかる!簡単要約

この記事を読むことで、相続における生命保険の“真の価値”を体系的に理解できます。具体的には、①相続税を抑えるための非課税枠の活用法、②不動産中心の資産構成でも納税資金をスムーズに確保するテクニック、③受取人の指定による争族対策、④高齢期でも間に合う資産整理の方法など、実践的な知識が得られます。さらに、保険の種類別に目的に応じた使い分け方法を比較し、自身の家族構成や資産状況に合った保険の選び方が明確になります。加えて、注意すべき落とし穴や専門家との連携法までカバーされており、「生命保険をどう使えば、安心して資産を遺せるか?」という疑問が一気に解消されるでしょう。

目次

1.相続対策における生命保険の4つの効果と活用メリット

納税資金をタイムリーに確保する

非課税枠を活かして相続税を軽減する

受取人指定によって公平に資産を分配する

早期準備によって計画的な資産移転を実現する

2. 目的別|相続対策に効果的な生命保険の種類と選び方ガイド

終身保険|非課税枠活用と資産分配に適した保険の定番

定期保険|掛け捨てで安価に納税資金を準備したい人向け

養老保険|生前贈与にも応用できる保険の二刀流タイプ

変額終身保険|資産運用と保障を両立させたい方向け

収入保障保険|生活費を分割で遺したい場合に最適

年金保険|生前贈与に近い形で資産を移転

介護保険|介護費用を確保し、財産の減少による節税も

団体信用生命保険(団信)|住宅ローンの残債リスクを回避

相続対策に適した生命保険の比較早見表

3.実例でわかる!相続対策として生命保険を使った3つの成功事例

ケース1:子ども2人、それぞれに500万円ずつ——非課税枠をフル活用した節税術

ケース2:不動産中心の資産でも安心——生命保険で納税資金を確保

ケース3:高齢でも間に合う——資産整理とスムーズな承継の実現

4.相続対策で生命保険を使う前に必ず押さえたい6つの注意点

高額な保険料による資産圧迫

契約関係者の設定ミスによる課税リスク

相続人間の理解不足によるトラブル

節税目的だけでの加入による逆効果

税務処理や名義ミスによる課税増加

5.相続・保険対策はチーム戦!専門家と連携して効果を最大化

相続に強い保険代理店やFPの選び方

税理士との連携で税制上の効果を最大化

ワンストップで相談できる体制の構築

1.相続対策における生命保険の4つの効果と活用メリット

金融資産や不動産に加え、アート作品や高額な嗜好品など、多岐にわたる資産を保有する方にとって、「納税資金の確保」や「円滑な資産分配」は相続において避けて通れない課題です。

こうした悩みに対して、有効な一手となるのが生命保険の活用です。中でも「納税資金をタイムリーに確保する」「非課税枠を活かして相続税を軽減」「受取人指定による公平な資産分配」「早期準備による計画的な資産移転」という4つの効果が期待できます。本記事では、それぞれの効果について具体的に解説します。

納税資金をタイムリーに確保する

相続が発生すると、葬儀費用や相続税の納付など、短期間でまとまった現金が必要になる場面が少なくありません。こうした急な出費に対応するためには、すぐに使える現金の備えが重要です。生命保険は、相続開始直後にスムーズに資金を確保できる手段として非常に有効です。

生命保険金は、受取人が請求すれば比較的早く支払われるのが特徴です。多くの保険会社では、必要書類が揃えば1週間ほどで指定口座に振り込まれます。葬儀費用や納税にあてやすく、相続直後の混乱を和らげる大きな助けとなります。

さらに、預貯金とは異なり、生命保険金は名義人の死亡によって口座が凍結される心配がありません。保険金は「受取人固有の財産」として扱われるため、遺産分割協議を待たずに現金を受け取ることができます。

特に、資産の多くを不動産や未上場株式、美術品、骨董品といった流動性の低い資産が占めているご家庭では、生命保険の活用が一層効果的です。これらの資産は分割や換金が難しく、納税や代償分割に必要な現金が不足しがちですが、保険金を通じて納税資金を確保できれば、資産を売却せずに相続を進めることも可能になります。

非課税枠を活かして相続税を軽減する

生命保険には、法定相続人1人あたり500万円まで相続税がかからない非課税枠が設けられており、これを活用することで、現金をそのまま遺すよりも大きな節税効果が期待できます。

たとえば、配偶者と子ども2人の計3人が相続人であれば、1,500万円までの保険金が非課税となります。現金や不動産にはこのような非課税枠は原則としてないため、生命保険を使った資産移転は、相続税対策として非常に有効です。

この非課税枠を最大限活用するには、生命保険の金額設計が重要です。たとえば同じ1,500万円を遺すにしても、現金で遺すと全額が課税対象になるのに対し、生命保険として渡すことで非課税枠を活かすことができます。設計にあたっては、相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)や他の資産とのバランスを考慮し、シミュレーションを行いましょう。

また、非課税枠を超えた部分についても、相続税の納税原資として生命保険金を充てることができます。予想される相続税額を税理士に試算してもらい、不足分を保険金で補えるように設計するのも有効な戦略です。

受取人指定によって公平に資産を分配する

生命保険は、相続人ごとの状況や家族構成に応じて受取人を個別に指定できるため、公平性のある資産分配が可能になります。たとえば「長男には事業用不動産、次男には生命保険金」といったように、資産の性質や受け取る人の立場に応じた柔軟な分け方ができます。

また、生命保険金は原則として遺産分割の対象外とされており、被相続人の意思を反映しやすい仕組みです。ただし、特定の相続人に偏って保険金を設定した場合、不公平感から争いが起こる可能性もあります。そのため、遺言書で意図を明記したり、生前に家族と話し合っておくことが、トラブル防止に役立ちます。

さらに、保険金の受取人を複数に設定し、あらかじめ受取割合を決めておく方法もあります。このようにすれば、非課税枠を相続人それぞれに適用しつつ、よりバランスの取れた資産分配が実現できます。

早期準備によって計画的な資産移転を実現する

相続対策として生命保険を活用するなら、計画的に、そして早めに準備を始めることが重要です。生命保険は、加入時の年齢や健康状態によって、保険料の総額や選べる商品の幅が大きく変わるためです。

たとえば、同じ保障金額でも、50代で加入するのと80代で加入するのとでは、必要な保険料に大きな差が生まれます。年齢が若いほど保険料は抑えやすく、負担を軽減できます。

加えて、健康状態も加入可否に影響する重要な要素です。高齢になると持病の影響で加入が難しくなったり、選べる保険商品が限られたりするケースもあります。

さらに、返戻金のあるタイプの保険であれば、早期に加入することで資産形成効果も期待できます。長期保有により積み立て効果が高まり、相続時にまとまった金額を遺す手段としても有効です。早めの備えが、将来の安心につながります。

2. 目的別|相続対策に効果的な生命保険の種類と選び方ガイド

生命保険にはさまざまな種類があり、それぞれ保障内容や活用目的が異なります。ここでは、相続対策として効果的に活用できる生命保険の種類を目的別に整理し、それぞれの特徴と活用方法を紹介します。

終身保険|非課税枠活用と資産分配に適した保険の定番

特徴

終身保険は、一生涯の死亡保障が続く保険です。特に一時払い終身保険では、契約時に保険料をまとめて支払うことで、月々の負担なく保障を確保できます。高齢者でも加入しやすく、健康状態に不安がある方でも申込可能な商品がある点が魅力です。

相続対策としての活用

現金で遺すよりも、保険金として受け取ってもらうことで「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠を活用でき、相続税の軽減が期待できます。また、受取人を指定できるため、資産分配の明確化やトラブル防止にもつながります。

定期保険|掛け捨てで安価に納税資金を準備したい人向け

特徴

定期保険は、一定期間のみ死亡保障がある掛け捨て型保険です。保険料が安価で、必要な期間だけ保障を確保したい人に向いています。

相続対策としての活用

相続発生が予想されるタイミングに保険期間を合わせることで、納税資金や生活費を効率的に準備できます。短期的なリスクに備えたい場合に有効です。

養老保険|生前贈与にも応用できる保険の二刀流タイプ

特徴

養老保険は、満期時に満期金が支払われ、途中で死亡した場合は死亡保険金が出る生死混合型の保険です。貯蓄性と保障性を兼ね備えています。

相続対策としての活用

契約者を親、満期金受取人を子にすることで、生前贈与のような使い方が可能です。老後資金と相続対策をバランスよく行いたい方に適しています。

変額終身保険|資産運用と保障を両立させたい方向け

特徴

変額終身保険は、保険料が株式や債券などで運用され、その成果に応じて保険金や解約返戻金が変動する保険です。一生涯の保障がありつつ、運用益も期待できます。

相続対策としての活用

運用によって保険金を増やせる可能性がある反面、相場により減少リスクもあります。安定運用や元本保証型の選択肢も検討しながら、慎重に活用しましょう。

収入保障保険|生活費を分割で遺したい場合に最適

特徴

死亡時に毎月定額の保険金が一定期間支払われるタイプの保険です。定期保険の一種で、家族の生活費を分割で支えます。

相続対策としての活用

一括ではなく、定期的に生活費を遺したい場合に有効です。長期的な生活設計の支えとなり、特に小さな子どもがいる家庭などに適しています。

年金保険|生前贈与に近い形で資産を移転

特徴

契約満了後に年金として定期的に受け取れる保険です。終身型や確定型など複数のタイプがあり、老後資金としても人気です。

相続対策としての活用

資産を年金形式で分散して移転できるため、生前贈与に近い活用が可能です。確定年金型なら受取人を家族に設定し、資産移転を計画的に行うことができます。

介護保険|介護費用を確保し、財産の減少による節税も

特徴

要介護状態になった場合に保険金が支払われる保険です。一時金や年金形式の給付があり、高齢期のリスクに備えられます。

相続対策としての活用

本人の介護費用を事前に備えておくことで、相続財産の減少を通じて相続税の圧縮が可能です。また、介護費用に関する家族間の争いを防ぐ効果もあります。

団体信用生命保険(団信)|住宅ローンの残債リスクを回避

特徴

住宅ローンの契約者が死亡した場合にローン残高が完済される保険です。住宅ローンとセットで契約されるのが一般的です。

相続対策としての活用

相続人が住宅ローンを引き継がずに済むため、相続時の負担を軽減できます。ただし、団信の保障は保険金非課税枠の対象外である点には注意が必要です。

相続対策に適した生命保険の比較早見表

保険の種類特徴          主な活用ポイント向いている人・家庭
終身保険一括払で一生涯の保障、非課税枠を活用しやすい納税資金の確保、節税、資産分配高齢者、現金資産の多い方
定期保険掛け捨てで保険料が安価、期間限定の保障納税リスクに備えた短期対策近い将来に相続が見込まれる方
養老保険満期金あり、貯蓄性と保障性を兼ね備える生前贈与的な活用、老後資金との両立中高年層、貯蓄と相続対策を両立したい方
変額終身保険資産運用型、一生涯の保障付き運用効果による保険金増加を狙う投資リスクを受け入れられる方
収入保障保険毎月定額で支給、家族の生活費を分割補償長期的な生活費支援、生活設計の安定化小さな子どもがいる家庭
年金保険(個人年金)年金形式で定期的に受け取れる分割型の資産移転、生前贈与に近い設計老後資金と相続対策を両立したい方
介護保険要介護状態で給付、一時金または年金形式の支払い介護費用の確保、相続税圧縮、争族防止高齢期のリスクに備えたい方
団体信用生命保険(団信)住宅ローンの残債を完済相続時のローン負担軽減、資産を守る不動産を残したい家庭

3.実例でわかる!相続対策として生命保険を使った3つの成功事例

ここからは、実際のケーススタディを通して、生命保険が相続対策にどのように役立つのかを具体的に見ていきましょう。今回は富裕層によく見られる3つの事例をご紹介します。

ケース1:子ども2人、それぞれに500万円ずつ——非課税枠をフル活用した節税術

60代の経営者Aさんは、妻に先立たれ、相続人は子ども2人のみ。自宅不動産(評価額8,000万円)と預金5,000万円を保有しており、相続税の基礎控除(3,000万円+600万円×2人=4,200万円)を大きく超える遺産が見込まれていました。

Aさんは生命保険の「非課税枠(500万円×法定相続人の数)」を活用するため、それぞれの子どもを受取人とする500万円ずつの終身保険(計1,000万円)に加入。これにより、死亡時に支払われる保険金1,000万円は非課税で子どもたちに渡すことができます。

仮にこの1,000万円が預金のまま相続された場合、相続税率15〜20%を前提にすれば、数百万円の税金が発生していた可能性があります。

結果として、子どもたちは不動産と預金(約4,000万円)を相続しつつ、別途非課税で保険金1,000万円を受け取ることができ、相続税の納税資金にも余裕が生まれました。

  1. 法定相続人の人数に応じた保険金設定で、非課税枠を最大限活用することが節税の鍵となります。

ケース2:不動産中心の資産でも安心——生命保険で納税資金を確保

資産家Bさん(70代男性)は、評価額2億円の賃貸ビルと1億円相当の土地を保有。一方で、現預金は1,000万円程度と少なく、相続発生時に高額な相続税が発生する一方で、納税資金が不足する懸念がありました。

不動産の急な売却は価格が下がるリスクもあるため、Bさんは一時払い終身保険に1億円を拠出。受取人は妻とし、死亡保険金1億円を受け取れる契約を締結しました。

その数年後にBさんが亡くなり、妻は即座に1億円の保険金を受け取りました。このうち非課税枠(500万円×法定相続人3人=1,500万円)を差し引いた8,500万円が課税対象となりましたが、納税に必要な資金は十分に確保でき、不動産を売却せずに済みました。

  1. 流動性の低い資産が中心でも、保険を活用することで納税資金を確保し、大切な資産を守ることができます。

ケース3:高齢でも間に合う——資産整理とスムーズな承継の実現

80歳のCさんは、老後資金として1億円の現預金を保有し、相続人は娘1人のみ。基礎控除(4,200万円)を超えるため、相続税の発生は避けられない状況でした。

Cさんは「90歳まで加入可能」な一時払い終身保険を利用し、1億円を一括で支払い、死亡保険金1億1,000万円の契約を締結(受取人は娘)。健康告知不要のため、高齢でもスムーズに加入できました。

数年後、Cさんが亡くなった際、娘さんは1億1,000万円の保険金を受け取り、そのうち非課税枠(500万円)を除いた1億500万円が課税対象に。とはいえ、現金でまとまった金額を受け取れたことで、相続税を支払っても手元に十分な資金が残り、自宅不動産(評価額5,000万円)も売却せずに済みました。

また、Cさん自身も生前に資産の大部分を保険に組み替えていたため、認知症などによる資産凍結リスクを回避できました。

  1. 高齢でも加入可能な保険を活用することで、生前に資産を整理し、相続人へのスムーズな資産移転と手続きの簡素化が可能になります。

4.相続対策で生命保険を使う前に必ず押さえたい6つの注意点

生命保険の相続対策には多くのメリットがありますが、一方で注意すべき点や陥りがちな落とし穴も存在します。対策を有効に機能させるために、以下のポイントに気を付けましょう。

高額な保険料による資産圧迫

十分な保険金を用意しようとすると、その分だけ生前に支払う保険料も高額になります。特に終身保険や一時払い終身保険は支払い保険料が大きく、場合によっては資産運用の機会損失や生活資金の圧迫を招きかねません。

例えば数千万円規模の一時払い保険に加入すれば、その金額だけ一度に現預金が減少します。保険料支出によって手元資金が減り過ぎると、生前の生活水準を維持できなくなったり、緊急時の予備資金が不足したりする恐れがあります。また、保険加入後に早期解約すると解約返戻金が払込保険料を下回り元本割れになる商品も多いため、途中で方針変更するとかえって損失が生じます。

対策:保険加入にあたっては必要保険金額を慎重に見極め、無理のない保険料設定を心がけましょう。長期の払い込みが負担になる場合は一時払いも検討する、逆に一時払いで大きく資金が減るのが不安なら年払いにする、といった調整も可能です。保険は加入がゴールではなく継続管理が大切ですから、契約後の資金計画まで含めて検討することが重要です。

契約関係者の設定ミスによる課税リスク

生命保険の契約は「契約者(保険料負担者)」「被保険者」「保険金受取人」の関係によって、適用される税金の種類が変わります。一般的な相続税対策では「被保険者=契約者(=保険料負担者)、受取人=相続人」とすることで相続税の非課税枠が使える形にします。しかし、例えば契約者(保険料負担者)と受取人が同一で被保険者のみ異なるケースでは、保険金受取時に贈与税や所得税の課税対象となってしまいます。

実際によくある誤りに、「親が保険料を負担し子どもを契約者兼受取人とした終身保険」を契約してしまうケースがあります。この場合、親(被保険者)が亡くなって子どもが保険金を受け取ると、それは親から子への生前贈与と見なされ贈与税の対象となり、非課税枠も使えません。意図しない課税を避けるため、契約時に誰を契約者・受取人にするか必ず確認しましょう。

また、受取人を配偶者ではなく子どもにしていたために配偶者の税額軽減の特例が使えず相続税負担が増えてしまった、といったケースもあります。契約関係者の組み合わせによる税制上の扱いを理解し、必要なら専門家にシミュレーションしてもらうことが肝心です。

相続人間の理解不足によるトラブル

生命保険金は原則として遺産分割協議の対象外であり、受取人固有の財産として速やかに支払われます。この特徴は相続人間の争いを防ぐ効果がありますが、場合によっては逆に不公平感からトラブルを招くこともあります。

例えば、長男が保険金1億円を受け取り、次男にはほとんど遺産が残らなかったような場合、次男が「自分だけ何ももらえないのは不当だ」と感じて不満を爆発させるかもしれません。法律上は保険金は長男固有の財産でも、遺留分(最低限の取り分)を巡って争いになるケースも報告されています。

このような事態を避けるには、被相続人が生前に家族へ保険金の分配方針を説明しておく、または遺言書に保険金を考慮した全体の遺産配分を書き記すことが有効です。保険金の受取人に関して親族の間で理解と合意が得られていれば、「保険金=争いのタネ」ではなく「争いを防ぐ潤滑油として機能します。せっかく円満な相続のために入った保険が原因で兄弟仲が悪化しては本末転倒です。相続人同士のコミュニケーションや専門家を交えた事前調整にも目を向けましょう。

節税目的だけでの加入による逆効果

生命保険は相続税の節税手段として有効ですが、節税「だけ」を目的に加入することの危うさも指摘しておきます。相続税対策が必要かどうかは人それぞれで、場合によっては基礎控除内に収まっており相続税がそもそもかからないケースもあります。

そのような状況で高額な保険料を払ってまで保険に加入すると、節税効果がないばかりか、保険料分だけ資産を減らす結果になりかねません。例えば遺産総額が基礎控除以下の家庭が、保険に入って非課税枠を使おうとしても、もともとかからない税金を減らすことはできません。さらに、節税を意識するあまり保険ばかり多く加入し過ぎると、今度は残された遺産の中での現預金が不足し、別の意味で相続が円滑にいかなくなる可能性もあります。

相続対策は生命保険だけでなく、不動産の評価減対策や生前贈与の活用など複数の方法があります。生命保険に加入する際も、「本当に保険が必要な状況か」「他の対策とのバランスは適切か」を総合的に判断しましょう。節税ありきではなく、相続人にどんな資産を遺したいか、そのために保険が有効かという本質的な視点で加入を決めることが大切です。

税務処理や名義ミスによる課税増加

相続にまつわる税務手続きは煩雑で、生命保険を活用した場合にも適切な申告が求められます。例えば、死亡保険金の非課税枠を適用するには相続税の申告書に所定の明細を記載する必要がありますが、うっかり申告を怠ると非課税枠が認められなくなってしまいます。また、保険料の負担者と名義が異なる「名義預金」のような形で保険料を捻出していると、税務署からその保険料分を相続財産に加算されるリスクもあります。

例えば親が子どもの名義口座に資金を移し、子ども名義で保険料を払っていた場合でも、資金移転の事実を証明できないと「実質は親が負担した」と判断され相続税課税対象とみなされる可能性があります。

さらに、受取人の名義を古いまま(前配偶者や既に亡くなった親族など)放置していると、いざという時に想定外の人に保険金が渡ったり、保険会社との手続きが複雑化する恐れもあります。対策として、税務処理は専門家の指導の下で正確に行うことと、保険契約内容(受取人名義や契約者名義等)は定期的に見直して誤りがないよう管理することが挙げられます。適切な手続きを踏めば問題ないことでも、ミスや見落としがあると本来得られるはずの非課税メリットを享受できなくなります。細部にも注意を払い、せっかくの相続対策が台無しにならないようにしましょう。

5.相続・保険対策はチーム戦!専門家と連携して効果を最大化

生命保険を使った相続対策を万全にし、最大の効果を得るには、信頼できる専門家のサポートが不可欠です。保険や相続のプロと上手に連携する方法を押さえておきましょう。

相続に強い保険代理店やFPの選び方

生命保険を活用した相続対策では、まず信頼できる相談相手を見つけることが大切です。保険代理店だけでなく、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)や銀行、証券会社でも相談は可能です。

ポイントは、相続対策の実務経験があるか、税務知識に精通しているか、幅広い選択肢から提案できる立場かという点です。例えば、一社専属の担当者よりも、独立系の立場にある専門家の方が柔軟な提案を受けられる傾向があります。

また、「相続診断士」などの資格を持つ担当者もいますが、資格よりも実績や対応力を重視しましょう。面談時には「似た資産規模の顧客にどんな提案をしたか」を聞くと、具体的な力量が見えてきます。

さらに、相続まで時間がある場合も多いため、継続的なフォロー体制があるかも重要です。制度改正に対応しながら、長期的に寄り添ってくれるパートナーを選びましょう。

税理士との連携で税制上の効果を最大化

相続税の試算や節税対策においては、税理士の専門的な知見が欠かせません。生命保険による節税効果も、他の資産構成や適用できる控除との関係で大きく変動します。したがって、相続に強い税理士と連携することで、生命保険を活用した対策の効果を最大限に引き出すことが可能になります。

実際、相続や資産承継のニーズが高まる中で、税理士と金融・保険の専門家が連携する動きが広がっています。銀行や証券会社、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)などの金融機関では、税理士との連携体制を整え、顧客に対して包括的な相続対策を提案するケースが一般的になりつつあります。また近年では、相続分野に特化した税理士事務所が保険代理店と協力し、保険証券の分析や最適な保険商品の提案を行うといった取り組みも増えています。こうした動きは、税務と金融の専門性を掛け合わせることで、より実効性のある相続対策を実現しようとするものです。

例えば、税理士は依頼者の全資産を把握したうえで相続税の試算を行い、「どの程度の死亡保険金を準備すれば、どの程度税負担を軽減できるか」といった具体的なプランを提示してくれます。また、保険契約時の契約者・受取人の設定についても、税務上有利な組み合わせをアドバイスしてもらえるのが大きなメリットです。

このように、税理士と保険の専門家が連携することで、保険と税の両面から抜け目のない相続対策が実現します。生命保険による節税だけでなく、小規模宅地等の特例の適用や二次相続まで見据えた包括的なプランニングを税理士とともに進めることで、生命保険の位置づけもより明確になります。相続発生後の保険金受取に関する相続税申告についても、税理士が的確に対応してくれるため、早い段階で専門家チームを組成しておくことを強くおすすめします。

ワンストップで相談できる体制の構築

富裕層の相続対策は、多角的な視点からのアプローチが必要です。生命保険だけでなく、不動産の活用・遺言作成・信託設定など検討事項は多岐にわたります。そこで理想的なのは、保険・税務・法務それぞれの専門家が連携し、ワンストップで相談に乗ってくれる体制を整えることです。例えば信託銀行や大手生保のウェルスマネジメント部門では、担当のアドバイザーが窓口となり、税理士や弁護士とチームを組んで包括的な相続プランを提案するサービスがあります。

依頼者側も各分野で同じ情報を伝えるようにし、必要に応じて三者面談的な機会を設けると良いでしょう。ワンストップサービスや専門家チームを活用することで、生命保険を含む相続対策全般をきめ細かくコーディネートでき、安心感が格段に高まります。

この記事のまとめ

生命保険は単なる「備え」ではなく、相続を円満に、そして効率的に進めるための「戦略ツール」です。とはいえ、保険の契約形態や金額設計、税務処理には専門的な判断が求められる場面も多く、誤ると節税どころか逆効果になるリスクもあります。

だからこそ、相続・保険・税務に精通した専門家と早めに連携することが、最も確実で安心な一歩です。 「自分に合った保険の種類は?」「納税資金はいくら必要?」「名義の設定はこのままで大丈夫?」―そんな疑問が少しでも浮かんだ方は、まずは相続・保険に強い専門家への無料相談を検討してみてください。

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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変額終身保険とは、一生涯の保障を持ちながら、保険料の一部を株式や債券などで運用する仕組みを備えた生命保険です。 この保険では、運用成績によって解約返戻金や死亡保険金の金額が増減するのが大きな特徴です。 運用が順調に進めば、将来的に受け取れる金額が増える可能性がありますが、逆に運用が不調な場合には、受取額が少なくなるリスクもある点には注意が必要です。 とはいえ、多くの商品では「最低保障額」が設定されており、万が一のときに最低限の保障は確保される**ため、一定の安心感もあります。 保障と資産運用を一つの商品で両立させたい方に向いていますが、加入する際は、リスクの内容や仕組みをきちんと理解しておくことが大切です。

収入保障保険

収入保障保険とは、契約者が死亡または高度障害になった場合に、遺された家族が毎月一定額の保険金を受け取れる生命保険の一種です保険金は一括ではなく、年金のように月々の定額支給という形で受け取るため、日々の生活費や教育費など、継続的な支出に備えるのに適した保険です。 この保険の特徴は、契約期間が経過するごとに受け取れる総額(=支給期間)が短くなるため、保険料が比較的割安に設定されていることです。必要な保障額を効率よく確保できることから、特に子育て中の家庭や、一家の収入を支える人に万が一があった場合のリスクに備えたい方に人気があります。

年金保険

年金保険とは、あらかじめ一定期間保険料を支払い、将来の特定の時期から定期的に年金としてお金を受け取ることができる保険です。老後の生活資金として計画的に備えるために利用されることが多く、公的年金だけでは不安な場合の補完的な役割を果たします。受け取る年金の期間は、一定期間だけ受け取る「確定年金」や、生きている限り受け取れる「終身年金」など複数のタイプがあります。また、運用方法によって、あらかじめ受取額が決まっている「定額型」と、運用成果によって受取額が変動する「変額型」があります。将来の安心を得るために、長期的な視点で資金を準備する手段として有効です。

団体信用生命保険(団信)

団体信用生命保険とは、住宅ローンを組んだ人が亡くなったり高度障害になったりした場合に、その時点のローン残高が保険金で返済される保険です。多くの場合、住宅ローンを借りる際に金融機関が加入を条件とすることがあり、略して「団信(だんしん)」とも呼ばれます。 この保険に加入しておけば、万が一のことがあった際に遺族がローンを引き継ぐ必要がなくなり、家に住み続けることができるため、大きな安心材料になります。保障の範囲は、死亡や高度障害に限らず、がんや三大疾病、就業不能までカバーするタイプもあり、ライフスタイルに応じて選ぶことができます。

贈与税

個人から贈与により財産を取得したときにかかる税金。 なお、法人から贈与により財産を取得したときは、贈与税ではなく所得税がかかる。

所得税

所得税は、個人が1年間に得た所得に対して課される税金です。給与所得や事業所得、不動産所得、投資による利益などが対象となります。日本では累進課税制度が採用されており、所得が高いほど税率が上がります。給与所得者は源泉徴収により毎月の給与から所得税が差し引かれ、年末調整や確定申告で精算されます。控除制度もあり、基礎控除や扶養控除、医療費控除などを活用することで課税所得を減らし、税負担を軽減できます。

契約者

契約者とは、保険や投資信託などの金融商品において契約を締結する当事者のことを指す。契約者は契約の内容を決定し、保険料や掛金の支払い義務を負う。生命保険では、契約者と被保険者が異なる場合もあり、この場合、契約者が保険金の受取人を指定できる。投資信託では、契約者が運用を委託し、受益者として利益を得る。契約内容によっては、解約や変更の権限を有するため、慎重な契約の選択が求められる。

被保険者

被保険者とは、保険の保障対象となる人物。生命保険では被保険者の生存・死亡に関して保険金が支払われる。医療保険では被保険者の入院や手術に対して給付金が支払われる。損害保険では、被保険者は保険の対象物(自動車など)の所有者や使用者となる。被保険者の同意(被保険者同意)は、第三者を被保険者とする生命保険契約において不可欠な要素で、モラルリスク防止の観点から法律で義務付けられている。

受益者(受取人)

資産運用における受益者(受取人)とは、保険、信託、年金、投資信託、相続などの金融資産から利益を受け取る権利を持つ人を指します。各金融商品や制度において、受益者の役割や権利は異なりますが、共通して資産の管理や運用を経て利益を受ける立場にあります。 生命保険では、契約者が指定した受取人が、被保険者の死亡時に保険金を受け取ります。受取人には第一受取人と第二受取人があり、状況に応じて保険金の支払いが行われます。年金においては、企業年金や個人年金の給付を受け取る人が該当し、遺族年金のように家族が受給者となるケースもあります。 信託では、委託者が資産を信託し、受託者が管理・運用した収益を受益者が受け取ります。信託の形態によって、個人向けや法人向けの受益者が存在し、特定の目的に応じた資産運用が可能となります。投資信託では、ファンドに出資した投資家が受益者となり、分配金や運用益を得ます。特にETFなどの上場投資信託では、受益者が市場で自由に取引できる点が特徴です。 相続においては、遺言や法定相続によって故人の資産を受け取る人が受益者とされます。特定の受益者を指定することで、資産の分配を意図的に調整することが可能になります。また、公共の福祉制度においても、社会保障や奨学金の支給対象者が受益者に該当します。 受益者の適切な指定は、資産の円滑な継承や税務対策において重要であり、状況の変化に応じた定期的な見直しが推奨されます。特に、家族構成の変化や法改正の影響を考慮し、適切な受益者設定を行うことが、資産運用を成功させる鍵となります。

一時払い終身保険

一時払い終身保険とは、契約時に保険料を一括で支払うことで、一生涯にわたる死亡保障を得られる生命保険です。途中で保険料を払い続ける必要がないため、まとまった資金を活用して効率的に保障を確保したい方に向いています。 また、解約返戻金が比較的早い時期から増えやすい設計になっていることが多く、相続対策や資産の一部を安全に運用したいと考える方にも選ばれています。保障は一生続くため、万が一の際には確実に保険金を遺すことができ、残された家族の安心につながります。加入後の保険料の負担がないというシンプルさも、大きな特徴です。

納税資金

納税資金とは、相続や贈与が発生したときに必要となる税金を支払うために、あらかじめ準備しておくお金のことを指します。特に相続の場合、土地や建物といった現金化しにくい資産を多く持っていると、相続税を払うための現金が手元に不足することがあります。こうした事態に備えて、生命保険や預貯金などで納税資金を計画的に用意しておくことが大切です。生命保険を活用することで、被相続人が亡くなったときに保険金が速やかに支払われ、納税資金として使えるようになるため、資産をスムーズに引き継ぐための有効な手段とされています。

遺産分割協議

遺産分割協議とは、相続人が複数いる場合に、誰がどの財産をどのように受け取るかを話し合って決める手続きのことです。預貯金や不動産、有価証券などすべての遺産が対象になります。原則として相続人全員の合意が必要で、話し合いの結果を「遺産分割協議書」という文書にまとめて、全員が署名・押印します。遺言書がない場合や、遺言があっても一部の財産について分け方が指定されていないときに行われます。もし話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所での調停手続きに進むことになります。

遺留分

遺留分とは、被相続人が遺言などによって自由に処分できる財産のうち、一定の相続人に保障される最低限の取り分を指す。日本の民法では、配偶者や子、直系尊属(親)などの法定相続人に対して遺留分が認められており、兄弟姉妹には認められていない。遺留分が侵害された場合、相続人は「遺留分侵害額請求」によって不足分の金銭的補填を請求できる。これは相続財産の公平な分配を確保し、特定の相続人が極端に不利にならないようにするための制度である。

名義預金

名義預金とは、預金口座の名義人と、実際にそのお金を出した人(出資者)が異なる預金のことを指します。 たとえば、親が自分のお金を子どもの名義で開設した口座に預けているようなケースが代表的です。名義上は子どもの預金でも、実際にお金を出したのが親で、子どもが自由に使えない状態であれば、そのお金は「親の財産」とみなされます。 このような名義預金は、相続の際に「相続財産」として課税対象になる可能性があり、税務署から指摘を受けることもあります。 つまり、「相続対策のつもりで家族名義の口座にお金を移していたつもりが、かえって相続税の対象になってしまう」といったリスクがあるのです。 名義だけでなく、実際にお金を管理・使用しているのは誰なのか?という“実質的な所有者”を明確にしておくことが重要です。 相続や贈与を意識した資産管理を行う際には、形式だけでなく実態をともなった対策が求められます。

信託

委託者が、信託目的にしたがって、所有する金銭や土地などの財産を、自分自身や大切な人(受益者)のために、信頼する人または専門家(受託者)に託し、運用・管理を任せる法的な枠組み。 信託を利用することで、財産の委託者は、受託者の持つ専門性を活かした資産運用や財産の保全を実現することが可能。

生前贈与

生前贈与とは、本人が亡くなる前に、自分の財産を家族や親族などに贈り与えることを指します。たとえば、子どもや孫に現金や不動産などを自分の意思で生きているうちに渡す行為がこれにあたります。生前贈与を活用することで、相続時に財産が一度に多額に移転するのを防ぎ、相続税の負担を軽減する効果が期待できます。ただし、贈与にも贈与税がかかるため、贈与額やタイミング、誰に贈るかによって課税額が大きく変わることがあります。また、一定の条件を満たせば非課税になる特例制度もあるため、計画的に行うことが重要です。資産運用や相続対策として、生前贈与は家族に財産を無理なく引き継がせるための有効な手段のひとつです。

基礎控除

基礎控除とは、所得税の計算において、すべての納税者に一律で適用される控除のことを指す。一定額の所得については課税対象から除外されるため、納税者の負担を軽減する役割を持つ。所得に応じて控除額が変動する場合もあり、申告不要で自動適用される。

法定相続人

法定相続人とは、民法で定められた相続権を持つ人のことを指します。被相続人が亡くなった際に、配偶者や子ども、親、兄弟姉妹などが法律上の順位に従って財産を相続する権利を持ちます。配偶者は常に相続人となり、子がいない場合は直系尊属(親や祖父母)、それもいない場合は兄弟姉妹が相続人になります。相続税の基礎控除額の計算や遺産分割の際に重要な概念であり、相続対策を検討する上で欠かせない要素となります。

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