DBに加入していますが、iDeCoの追加も検討しています。注意点はありますか?
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2024/10/22 12:04
男性
50代
現在、確定給付年金の導入企業で働いています。現状のインフレや老後資産のことを考え、iDeCoにも加入を検討しているのですが、DBとiDeCoの併用に際して、なにか注意点があれば教えて下さい。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
確定給付年金(DB)に加入している会社員でもiDeCoを併用することは可能で、インフレに備えた上乗せ運用として有効です。ただし、次の4点を必ず確認してください。
① 拠出限度額の計算
2024年12月改正により、DB加入者のiDeCo上限は「55,000円−他制度掛金相当額」(月額)で算定され、上限は最大でも20,000円にとどまります。自社DBに充当される保険料が大きいほど上限は縮小し、計算結果が5,000円未満になると加入自体ができません。勤務先から通知されている「他制度掛金相当額」をまず確認しましょう。
② 税制メリットと受取課税のバランス
掛金は全額所得控除、運用益は非課税、受取時は退職所得控除または公的年金等控除が使えます。一方、DBの退職給付や企業型DCなどと同時期に一時金で受け取ると控除枠が圧迫され課税対象額が増える場合があります。受取方法(年金・一時金・併用)も含め、将来の課税総額をシミュレーションしておくと安心です。
③ 流動性・コスト・リスク
iDeCoは60歳(生年月日により61〜65歳)まで原則引き出せず、金融機関手数料が年間2,000〜6,000円かかります。拠出額が小さいと手数料負担率が高くなるため、上限額いっぱいに拠出できない場合は費用対効果を検討してください。また運用成績次第で元本割れのリスクがあります。
④ ポートフォリオ全体での役割
DBは企業側が給付責任を負うため、予定利率に沿った「安定収入」を提供します。iDeCoは自身で運用し「成長性」を取りに行く仕組みです。両者を組み合わせることで、基礎年金+DBで最低限の生活費を確保しつつ、iDeCoでインフレヘッジとリスク資産の比率を適切に調整することができます。
上記を踏まえ、①勤務先からの通知内容、②将来受取時の課税シミュレーション、③手数料とリスク許容度を確認したうえで拠出額を決定し、必要に応じて社労士・税理士など専門家に相談すると失敗がありません。
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確定給付年金
確定給付年金(Defined Benefit)とは、受給者の給与や勤務年数などによってあらかじめもらえる金額が決まっている年金のこと。給付額が制度資産の利回りに依拠しないという特徴がある。確定給付企業年金を指す言葉として用いられることもある。受給者に対するメリットとしては、確定給付年金(DB)は確定拠出年金(DC)と比べて資産管理に気を使わなくてよく、老後の安定的な収入源になるが、償却負担が重い場合には給料に悪影響を及ぼす可能性があり、受給権がわかりにくいというデメリットがある。
確定拠出年金
確定拠出年金は、毎月いくら掛金を拠出するかをあらかじめ決め、その掛金を自分で運用して増やし、将来の受取額が運用成績によって変わる年金制度です。会社が導入する企業型と、自分で加入する個人型(iDeCo)の二つがあり、掛金は所得控除の対象になるため節税効果があります。 運用対象は投資信託や定期預金などから選べ、運用益も非課税で再投資される仕組みです。60歳以降に年金や一時金として受け取れますが、途中で自由に引き出せない点に注意が必要です。老後資金を自ら準備し、運用の成果を自分の年金額として受け取る「自助努力型」の代表的な制度となっています。
iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。