サムライ債って海外の債券なのに円建てとは、どういう仕組み?
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2025/04/09 15:57
男性
40代
サムライ債は海外の発行体による債券であるにもかかわらず、円建てで取引されるという点に違和感があります。日本円で利息や償還が行われる債券の仕組みがどのように成立しているのか、基本的な構造を知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
サムライ債とは、日本国内で海外の政府や企業などが発行する「円建ての債券」です。このような仕組みが成立する背景としては、海外の発行体が日本市場で資金を調達する際、日本の投資家にとって投資しやすいよう、日本円で元本や利息の支払いを行う形を取っていることが挙げられます。
具体的な仕組みとしては、まず海外の発行体(例えば外国政府や企業)が日本国内の市場で債券を発行し、日本の投資家から日本円で資金を調達します。調達した円資金は、多くの場合、為替市場を通じて自国通貨や他の通貨に両替し、自国内や他地域での事業・投資資金に充てられますが、発行体が日本国内での事業展開や買収などを目的としている場合には、円のまま活用されることもあります。
債券の償還や利息の支払い時期には、発行体は逆に自国通貨を再び円に両替して日本の投資家に支払いを行います。つまり、発行体が為替リスクを負うことで、日本の投資家側は為替変動を気にする必要がなくなります。その結果、投資家は海外の信用リスク(発行体が元本や利息をきちんと払えるかどうか)に焦点を絞って投資判断をすることができます。
この仕組みにより、日本の投資家は海外市場へのアクセスが容易になり、海外の発行体側も日本国内で比較的低いコストで資金調達が可能になるメリットがあります。
実際の投資にあたっては、発行体の信用力や経済情勢の変化に伴うリスクもありますので、専門家へのご相談をおすすめします。
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関連する専門用語
サムライ債
サムライ債とは、日本の国内市場で、外国の企業や政府などが日本円建てで発行する債券のことをいいます。発行体は海外の団体ですが、日本の法律に基づいて発行され、日本の投資家が購入できる仕組みになっています。そのため、日本の投資家にとっては、為替リスクがない状態で海外の信用力をもつ発行体に投資できるという特徴があります。外国企業にとっては、日本市場から資金を調達する手段のひとつです。「サムライ」という名称は、海外から見た日本らしさを表現した呼び名として使われています。
円建て
円建てとは、取引や金融商品の金額が日本円で表示・決済されることを指します。たとえば、円建て債券であれば、元本や利息の支払いがすべて日本円で行われるという意味になります。日本に住む投資家にとっては、為替変動による損益を気にせずに投資できるというメリットがあります。また、海外の企業や政府が日本市場で資金を調達する際にも円建てで発行されることがあり、その場合は日本円で投資家が投資し、円で返済される仕組みになります。投資初心者にとっては、円建ての金融商品は為替リスクが少なく、理解しやすい選択肢といえるでしょう。
発行体
発行体とは、債券や株式などの金融商品を市場に出して資金を調達する側のことを指します。債券であれば、お金を借りる側であり、投資家から集めた資金を使って事業活動や設備投資などを行います。発行体には、国や地方自治体、企業、政府機関などさまざまな種類があります。投資家にとっては、発行体の信用力や財務状況がその金融商品の安全性や利回りに大きく影響するため、誰が発行しているのかをしっかりと確認することが重要です。信頼できる発行体であれば、安定した利息や元本の返済が期待できます。
為替リスク
為替リスクとは、異なる通貨間での為替レートの変動により、外貨建て資産の価値が変動し、損失が生じる可能性のあるリスクを指します。 たとえば、日本円で生活している投資家が米ドル建ての株式や債券に投資した場合、最終的なリターンは円とドルの為替レートに大きく左右されます。仮に投資先の価格が変わらなくても、円高が進むと、日本円に換算した際の資産価値が目減りしてしまうことがあります。反対に、円安が進めば、為替差益によって収益が増える場合もあります。 為替リスクは、外国株式、外貨建て債券、海外不動産、グローバルファンドなど、外貨に関わるすべての資産に存在する基本的なリスクです。 対策としては、為替ヘッジ付きの商品を選ぶ、複数の通貨や地域に分散して投資する、長期的な視点で資産を保有するなどの方法があります。海外資産に投資する際は、リターンだけでなく、為替リスクの存在も十分に理解しておくことが大切です。
信用リスク
信用リスクとは、お金を貸した相手や投資した企業・国などが、何らかの理由で約束通りに返済や利息の支払いをしてくれなくなる可能性のことを指します。たとえば、企業が倒産したり、国が財政危機に陥ったりすると、債券などの投資商品から予定していた収益が得られなくなる恐れがあります。これが信用リスクです。 信用リスクの高い相手に対しては、一般的に高い利回り(リターン)が設定されますが、その分リスクも大きくなります。資産運用においては、リターンだけでなく、このような信用リスクをしっかりと見極めることが、安定した投資のためにとても重要です。
償還
償還とは、債券の満期到来時に発行体が投資家に対して元本を返済することを指します。例えば、10年満期の債券であれば、10年後に元本が返金されます。債券の発行元が満期までの間に利息を支払い、償還時に元本を返済することで投資家は利息収益と元本の返金を得ます。ただし、償還には発行体の信用力が影響し、デフォルトリスクが存在する場合があります。