退職金・年金をもらう前に確認しておきたい退職所得控除とは?
難易度:
執筆者:
公開:
2024.07.26
更新:
2024.09.05
目次
退職金の税制優遇措置「退職所得控除」と「退職所得」の計算方法
5年以下の勤務の場合「短期退職手当等」に対する退職所得控除と退職所得
5年以下の役員・議員・公務員の期間がある場合の退職所得控除と退職所得
「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出にすれば確定申告は不要
4年以内に他の退職金を受け取ると減額となる、退職所得控除の5年ルール
複数箇所に勤務しており、3年違いで退職し退職手当を受け取り5年ルールが適用されてしまう場合
iDeCoを一時金として受け取り、2年後に企業からの退職金も支給され、5年ルールが適用されてしまう場合
早期退職により、iDeCoを一時金で受け取れる60歳より前に退職金が支給されてしまい、19年ルールが適用されてしまう場合
退職金は、老後資産の中でも特に重要度が高い資金です。退職金は、給与や賞与と同様に課税対象です。しかし、退職後の生活を支える重要な原資となることから、給与や賞与とは違った税制優遇措置である「退職所得控除」が準備されています。
特に長年勤めてきた会社員の方、公務員の方にとっては、定年退職が近づくにつれて退職金の存在感が増すでしょう。
実は、退職所得控除の対象となるのは、退職金だけではありません。確定給付年金や確定拠出年金(企業型DC、iDeCo)、あるいは小規模企業共済を「一時金」として受け取ると、「退職所得控除」の対象となります。つまり、個人事業主の方でも小規模企業共済やiDeCoに加入していれば、対象となりえます。
控除額が変わればそれだけ退職金の「手取り額」も変動してきます。仕組みを上手く活用して手取りを極力増やしたい、というのは自然な心理ですね。
この記事では、老後の資産運用に重要な退職金にまつわる「退職所得控除」について解説を行います。
参考:経営者や自営業の退職金と節税対策!小規模企業共済の仕組みと特徴を解説
退職所得と退職所得控除の基本
残念なことに、退職金の額面金額は受け取れる金額ではありません。課税されて残った金額が手取りの退職金となります。退職金も給与や賞与と同様に総額から控除額を引いて、課税所得を計算して税金が決まる形です。
退職金の税額を計算する際に、退職金の総額として組み込まれるものは、退職金以外にもあります。また、総額にそのまま課税されるわけではないのでその計算方法を説明します。
「退職所得」に含まれる給与や報酬・一時金などお金の種類
退職所得とは、退職手当、一時恩給など、退職をきっかけとした給与など(退職手当等)に係る所得のことです。つまり、退職所得として課税対象となる「退職手当等」とは、退職しなければ支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいいます。
退職手当等は以下のようなものがあります
- 退職金や退職手当
- 執行役員への就任によって支給される一時金
- 掛金を拠出することで退職に際して支払われる一時金
- 過去の勤務に基づき支給される年金代わりの一時金
- 解雇予告手当
- 「確定給付企業年金法」の規定に基づく一時金
- 「未払賃金立替払制度」に基づく未払賃金
給付を受けた退職手当等をもとにして退職所得を計算します。様々なお金が合計されるため、課税額も大きくなるのではないかと懸念される方もいるかも知れません。しかし、前述の通り、退職金は老後の重要な資金です。そのため、「退職所得控除」により通常の給与や賞与よりも大きな控除を得ることができます。
退職金の税制優遇措置「退職所得控除」と「退職所得」の計算方法
退職所得控除は、退職所得の金額を計算する際に、退職金の総収入金額から差し引かれる控除額のことです。
退職所得の計算方法は、次のようになります。
退職所得 =(退職金の総収入額 ー 退職所得控除額)÷ 2
つまり、退職所得は、退職金の総収入金額から退職所得控除額を引いた金額の半分が課税対象となります。この計算方法は、退職所得に対する税制上の優遇措置であり、他の所得と比べて税負担が軽減されています。
退職所得控除の控除額は、勤続年数に応じて定められており、勤続年数が長いほど控除額が大きくなります。
退職所得控除の計算式は、以下のとおりです。
- 勤続年数が20年以下の場合:40万円×勤続年数(ただし、最低控除額は80万円)
- 勤続年数が20年より多い場合:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
例えば、勤続年数が5年の場合、退職所得控除額は以下のように計算されます。
40万円 × 5年 = 200万円
一方、勤続年数が37年の場合、退職所得控除額は以下のように計算されます。
800万円 + 70万円 ×(37年 - 20年)= 1,990万円
この計算式から分かるように、勤続年数が長くなればなるほど、退職所得控除額は大きくなります。その結果、退職所得の金額が小さくなり、税負担も軽減されることになります。
具体的な例を見てみましょう。先ほどの例で、退職金が2,200万円、勤続年数が37年の場合、退職所得控除額は1,990万円でした。
この場合、退職所得は以下のように計算されます。
(2,200万円 - 1,990万円) × 1/2 = 105万円
この退職所得105万円に対して所得税、復興特別所得税、住民税が課税されます。
退職所得税率
課税退職所得金額 | 所得税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円から 1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円から 3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円から 6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円から 8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円から 17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円から 39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
所得税は、課税退職所得金額(105万円)に税率(5%)を乗じ、控除額(0円)を差し引いて計算されます。
所得税:105万円 × 5% - 0円 = 52,500円
住民税は、課税退職所得金額に税率(10%)を乗じて計算されます。
住民税:105万円 × 10% = 10万5,000円
さらに、復興特別所得税(所得税額 × 2.1%)も課税されます。
復興特別所得税:52,500円 × 2.1% = 1,102円(端数切り捨て)
したがって、2,200万円の退職金に対する税額の合計は、158,602円(所得税52,500円 + 住民税105,000円 + 復興特別所得税1,102円)となり、手取り額は21,841,398円(約2,184万円)となります。
2,200万円の額面だったとしても、手取りが2,184万円になるなど、かなり受給者に優位な制度設計になっていることがわかります。
具体的に説明した税額計算を一般化して記載すると以下の通りとなります。
(所得×所得税率 - 控除)× (1 + 復興特別所得税率) + 所得×住民税率 = 税額
5年以下の勤務の場合「短期退職手当等」に対する退職所得控除と退職所得
退職金等を受け取るにあたって、5年以内の勤務の場合は、特に「短期退職手当等」とされています。(特定役員の場合は後述します)
短期退職手当等に対する退職所得の計算の仕方は「短期退職手当等の合計 ー 退職所得控除(40万円×勤続年数)」が300万円以上か以下かによって異なります。
「短期退職手当等の合計 ー 退職所得控除(40万円×勤続年数)」が300万円以下の場合は、通常の退職所得計算と同様です。
退職所得 = (短期退職手当等の合計 ー 退職所得控除)÷ 2
「短期退職手当等の合計 ー 退職所得控除(40万円×勤続年数)」が300万円を超える場合は、控除金額が大幅に下がります。
退職所得 = 150万円 + {短期退職手当等の合計 ー (300万円 + 退職所得控除)}
つまり、5年以下の勤務の場合は、300万円を超える部分の退職所得に対して大きく税金がかかる形です。
例えば、4年勤務した企業で600万円の退職金を得た場合、以下のような計算になります。
退職所得 = 150万円 + {600万円 - (300万円 + 40万円/年 × 4年)} = 290万円
参考に、一般的な退職所得の計算式を考えると、
退職所得 = (600万円 - 40万円/年 × 4年) ÷ 2 = 220万円
となり、70万円分退職所得が大きくなっていることがわかります。
5年以下の勤務で退職金を得る場合、その金額によって退職所得の計算方法が変わるため注意しましょう。
5年以下の役員・議員・公務員の期間がある場合の退職所得控除と退職所得
前述の一般的な退職所得控除や短期退職手当等に関する退職所得控除とは別に、「特定役員退職所得控除額」というものも存在します。これは、退職前の5年以下の期間に「特定役員」として勤務していた場合、その期間に対応する退職金については別の計算方法を適用するという取り決めです。
特定役員とは、以下の3種類を指します。
- 法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事および清算人ならびにこれら以外の者で法人の経営に従事している一定の者
- 国会議員および地方公共団体の議会の議員
- 国家公務員および地方公務員
例えば、ある人が15年間勤めた会社の最後の4年間を役員として過ごし、一般社員としての11年分の退職金1,100万円と、役員としての4年分の退職金600万円を受け取ったとします。この場合、退職所得控除額は以下のように計算されます。
一般社員分:(1,100万円 - (40万円/年 × 11年)) ÷ 2 = 330万円
役員分:600万円 - (40万円/年 × 4年) = 440万円
合計の課税退職所得金額:330万円 + 440万円 = 770万円
特定役員退職所得については、一般の退職所得控除のように課税退職所得金額を2で割ることはありません。そのため、課税退職所得金額が一般の場合と比べて大きくなります。
この例の場合、所得税額は以下のように計算されます。
課税退職所得金額770万円 × 税率23% - 控除額636,000円 = 所得税額1,135,000円
住民税は77万円、復興特別所得税は23,835円となることから、退職金の手取り金額は、15,071,165円(約1,507万円)です。
このように、特定役員退職所得控除額の計算方法は一般の退職所得控除とは異なり、特定役員としての勤務期間が5年以下の場合、その部分の退職金に対しては税負担が重くなる点に注意が必要です。
「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出にすれば確定申告は不要
一般的に会社員が退職する際、退職時の税金処理は、原則として会社が行いますが、状況によっては自分で確定申告が必要な場合があります。
1. 通常のケース:「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出
退職前に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出すれば、会社で所得税と復興特別所得税を計算し、源泉徴収します。この場合、通常は確定申告の必要はありません。
ただし、退職金と関係なく確定申告を行う場合(医療費控除・寄附金控除等の申請や雑所得が年間20万円以上の場合など)は、確定申告書に退職所得を記載する必要があります。
いずれによ、「退職所得の受給に関する申告書」を提出すれば退職金に起因して確定申告を行う必要はありません。
2. 「退職所得の受給に関する申告書」を提出しない場合は確定申告が必要
「退職所得の受給に関する申告書」を提出しない場合、退職金から一律20.42%の税金が源泉徴収されます。この場合は、後日確定申告により、税額を調整を行うことができます。税率が20.42%を下回る場合は還付金が受け取れます。
一方、税率が20.42%を上回っていた場合、無申告加算税や延滞税が加算されるなどペナルティが発生する可能性があります。十分注意し、確実に確定申告をおこなうようにしましょう。
税額を正確に把握するためには、会社に任せきることなく、事前にご自身でも計算することをおすすめします。これは退職後の生活の準備にも役立ちます。
退職所得控除の5年ルールと19年ルール
退職所得控除には、5年ルールと19年ルールと呼ばれるルールが存在します。複数の退職金を受け取る場合、受け取り間隔によっては、退職所得控除が大きく減額されてしまいます。なお、通常の退職手当等には5年ルールが適用されますが、iDeCoや企業型DCのような確定拠出年金にのみ19年ルールが適用されます。
以下では、この2つのルールについて説明します。
4年以内に他の退職金を受け取ると減額となる、退職所得控除の5年ルール
企業からの退職金を受け取る場合、その前年から4年以内に他の退職金を受け取っていた場合、退職所得控除の重複期間分が控除されない、という仕組みです。
例えば2020年に退職金を受け取った場合、次に満額の退職所得控除が受けられるのは、2025年以降ということになります。満額の退職所得控除を得るためには、前回の退職金受け取りから5年以上開ける必要があることから、5年ルールと呼ばれます。
確定拠出年金に適用される退職所得控除の19年ルールと注意点
19年ルールとは、企業型DCやiDeCoなどの確定拠出年金を受け取る場合、19年以内に他の退職金を受け取っていた場合、重複する期間の退職所得控除を受けられない、という仕組みです。他の退職手当等とは異なり、確定拠出年金にのみこの19年ルールが適用されます。
企業から退職金を受け取る予定があり、かつ、企業型DCやiDeCoを一時金で受け取りたい場合、企業型DCやiDeCoを受け取った5年後以降に企業からの退職金を受け取ったほうがいい、と言われるのはこの19年ルールに起因しています。
退職所得控除が減額されてしまう受け取り方の例
以下では、5年ルール、19年ルールの適用でどのように退職所得控除や退職所得が変化するかの例を示します。受け取りのタイミング調整が難しい退職手当でない限り、5年ルール・19年ルールの適用されないタイミングでの受け取りが税額を少なく、手取り額を大きくできます。
複数箇所に勤務しており、3年違いで退職し退職手当を受け取り5年ルールが適用されてしまう場合
45歳から65歳まで20年間A社に、58歳から68歳までB社にそれぞれダブルワークで勤務し、A社から2000万円、B社から1000万円の退職金が支給された場合を考えます。
65歳のとき、A社から受け取る退職金の退職所得控除は、
40万円/年 × 20年 = 800万円
退職所得は、
(2000万円 - 800万円) ÷ 2 = 600万円
です。この600万円に課税されます。
68歳の時にB社から受け取る退職金への退職所得は、4年以内にA社からの退職金を受け取っているため、重複期間分の退職所得控除が得られません。重複していない66歳から68歳の3年間のみ計上されます。
B社からの退職金の退職所得控除は、
40万円×3年 = 120万円
退職所得は、
(1000万円 - 120万円)÷ 2 = 440万円
仮にB社退職金に退職所得控除が満額受けられていたら、
40万円×10年 = 400万円
退職所得は、
(1000万円 - 400万円) ÷ 2 = 300万円
140万円の課税所得の差異があります。このように、複数の退職金を受け取る場合、受け取る時期が近いと退職所得控除が減額され、税額が大きくなってしまいます。
iDeCoを一時金として受け取り、2年後に企業からの退職金も支給され、5年ルールが適用されてしまう場合
例えば、iDeCoに50歳から加入している人が、63歳の時に一時金として500万円の受け取りを行い、65歳の時に25歳から40年間勤めた企業の退職金2,000万円を受け取る場合の事を考えます。
63歳で受け取るiDeCo一時金に対する退職所得控除は、加入期間13年のため、40万円/年×13年=520万円となります。一時金の500万円よりも額が大きいため、非課税です。
65歳で受け取る退職金に対する退職所得控除は、勤続40年からiDeCoとの重複期間13年が削られ、27年分となります。
そのため退職所得控除は
800万円+70万円/年×7年 = 1290万円
退職所得は、
(2,000万円-1,290万円)/2 = 355万円
となります。
つまり、退職金を受け取る4年以内に、別の退職金であるiDeCoの一時金を受け取ってしまったため、退職所得控除が減額されてしまいました。
この事例の場合だと、iDeCoの一時金を60歳の時に受け取っていれば、65歳で受け取る企業からの退職金も満額退職所得控除の対象でした。受け取りのタイミングは非常に重要です。
早期退職により、iDeCoを一時金で受け取れる60歳より前に退職金が支給されてしまい、19年ルールが適用されてしまう場合
22歳から35年間務めた会社を57歳のときに退職し、退職金を受け取った人が40歳からiDeCoも加入していた場合を考えます。早期退職により57歳で退職金が支給されてしまうと19年ルールにより、iDeCoの退職所得控除が満額受けられるのは57歳から19年後の76歳のとき、ということになります。
iDeCoを一時金として受け取れるのは75歳までなので、iDeCoを一時金で受け取ろうとしても退職所得控除が大きく削られ、税額が大きくなってしまいます。
具体的に数字を置いてみると以下のようになります。
退職金が22歳から勤続35年、57歳の時に2,000万円だった場合として計算します。
退職所得控除は
800万円 + 70万円/年×15年 = 1,850万円
です。つまり退職所得は
(2,000万円 - 1,850万円) / 2 = 75万円
75万円が退職所得となり、ここに課税されます。
iDeCoが40歳から65歳まで積立てを実施し、65歳で一時金を500万円受け取る場合は次のようになります。
退職所得控除は
40万円/年 × (加入期間25年 - 重複期間17年) = 180万円
です。退職所得は(500万円 - 180万円)/ 2 = 160万円
となり、ここに課税されます。
もし、iDeCoに対する退職所得控除が満額適用だった場合:
500万円 - (800万円 + 70万円×5) = - 650万円
となり、退職所得控除のほうが大きいため非課税でした。
退職金の受け取り方による受取金額の違いは以下の記事でも詳しく説明しています。
参考:損しない退職金の受け取り方は?税金や一時金の仕組みもわかりやすく解説!
まとめ
退職金は、老後の生活を支える資産としてとても重要です。
退職金は分離課税でかつ退職所得控除という非常に大きな税制優遇措置がありますが、その一方で、退職所得の範囲や控除額の計算方法、役員等の特例、5年・19年ルールなど複雑な部分もあります。
退職を控えた方は、事前に会社任せにせず、ご自身でもしっかりと理解・確認しておくことが大切です。ぜひ、本記事を参考に、どの程度の手取りが退職金で得られるのかを把握して、資産運用にお役立てください。
投資のコンシェルジュ編集部
MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
関連記事
関連する専門用語
確定給付年金
確定給付年金(Defined Benefit)とは、受給者の給与や勤務年数などによってあらかじめもらえる金額が決まっている年金のこと。給付額が制度資産の利回りに依拠しないという特徴がある。確定給付企業年金を指す言葉として用いられることもある。受給者に対するメリットとしては、確定給付年金(DB)は確定拠出年金(DC)と比べて資産管理に気を使わなくてよく、老後の安定的な収入源になるが、償却負担が重い場合には給料に悪影響を及ぼす可能性があり、受給権がわかりにくいというデメリットがある。
確定給付企業年金
確定給付型企業年金(Defined Benfit)とは、会社が搬出から給付までの責任を負う企業年金制度で、規約型と基金型に分かれている。規約型は企業が生命保険会社や信託会社などの受託機関と契約を結び、受託機関が受給者に対して給付を行う仕組みで、基金型は企業が企業年金基金を設立し、企業年金基金が受給者に対して給付を行う仕組みである。
確定拠出年金
確定拠出年金(Defined Contribution)とは、受給者自身が資産を運用する年金制度で、個人型と企業型に分けることができる。受給者は、自らや企業が搬入した掛け金を運用し、受給要件を満たした際に給付金を受け取ることができる。給付額はそれぞれの運用法によって異なるので、老後の給付額は現役時代には確定しない。 受給者に対するメリットとしては、確定拠出年金(DC)は確定給付年金(DB)と比べて受給権が確立されていることや、自身のDC資産のみを管理すればいいことが挙げられるが、価格変動が生じるため給付額が見込みでしか計算できないというデメリットがある。