GPIFに学ぶ、ポートフォリオ運用が個人投資家にも重要な理由
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公開:
2024.01.24
更新:
2024.08.09
目次
GPIFがポートフォリオ運用で行うリバランスとリアロケーションとは?:
ポートフォリオのリバランスとは?資産の変化を調整してバランスを戻す
GPIF(Government Pension Investment Fund)は200兆円超の資産を運用する世界最大の日本の年金基金です。彼らは200兆超の資産を、国内外の株式や債券といった異なるアセットクラスに分散させる、いわゆるグローバル分散投資と呼ばれる手法で運用しています。投資先を分散させることで、特定の国やアセットクラスが持つリスクも分散させ、かつ長期目線で経済全体の成長によるリターンを確実に得ることができます。個人投資家も、このような大規模基金の運用・投資戦略を参考にすることで、市場の変動に強いポートフォリオを組み、リスクを抑えつつ、長期的な資産成長を目指すことができます。2023年にフランスのコンサルティング会社Capgeminiが100万ドル以上の資産を持つ富裕層を対象に行った調査によると、富裕層の投資ポートフォリオは、34%はキャッシュ、不動産と債権に15%ずつ、株式に23%、オルタナティブ投資に13%の資産を配置していることが分かっております。
(MUFG 資産保全としての運用 グローバル分散投資の重要性 を参考に当社作成)
世界の富裕層は、このようにリスク・リターンの観点から資産の活かし方としてメリットが大きなグローバル分散投資を行っているのです。また、生命保険会社、損害保険会社、銀行などの金融機関や農協や政府系金融機関といった機関投資家の多くもグローバル分散投資を採用しています。
グローバル分散投資を、世界最大規模で実行し、安定した成績を残しているのが、GPIFです。本記事では、GPIFのポートフォリオを例に、グローバル分散投資の重要性とその具体的な実践方法を紹介いたします。
GPIFとは?世界最大の公的年金の運用方針と運用成績
GPIFとは我々国民が積み立てている年金積立金の管理と運用を行う厚生労働省が所管する独立行政法人です。その目的は、年金積立金の運用を行い、将来世代が決められた額の年金給付を受け取れるようにすることです。正式名称を年金積立金管理運用独立行政法人といい、運用額は2023年度第2四半期末現在、約219兆円であり、公的年金基金として世界最大の規模を誇ります。
ご存じの通り、我が国は急激な少子高齢化が進んでおり、このままでは、将来の労働世代が今以上の年金保険料をおさめるか、受給世代が受け取る年金の額を減らさないことには、年金財政は立ちいかなくなります。そうした状況下で、支払い額と受け取り額を一定に維持するために活用しようというのが年金積立金で、その運用を行っているのがGPIFとなります。
出典:年金積立金の役割(GPIF 2022年度 業務概況書、p10)
GPIFの資産運用方針
GPIFの運用方針は、日本の人口動態を所与としたうえで、将来個人が受け取る年金の額が減ってしまう事態に陥る可能性を可能な限り減らしつつも、将来不足する年金の積立部分を補填するのに必要なリターンを確実に獲得するものです。これを実現するのがまさに最初に言及した長期のグローバル分散投資であり、GPIFのほか、世界の機関投資家や富裕層が採用している運用方針となります。なお、GPIFの目的は年金受給額を増やすことではなく、安定的な年金財政の実現にあります。そのため、仮に今年の運用結果がプラスであっても、来年の年金支給額が増えることはなく、同様に、今年の運用結果がマイナスだからといって、来年の年金受給額が減ることもありません。
GPIFの運用パフォーマンス
実際に、これまでの運用パフォーマンスを見てみると、2001年の運用開始からこれまで年率3.59%のプラス、累計では初期運用額を2倍に、金額にして約108兆円も増やしています。短期的には運用成績がマイナスとなることもありますが、過去の運用期間のどの7年間をとっても累積収益がマイナスになったことがない非常に安定的な運用パフォーマンスを誇っています。
出典:GPIF 2022年度 業務概況書
GPIFの運用成績は世界も注目
「GPIF、10―12月期の運用損1兆8530億円 4四半期連続赤字」、「GPIF、7 ~ 9月は6832億円の赤字運用-金利上昇で債券損拡大」。これらはそれぞれロイター、ブルームバーグという世界的な金融ニュースサイトが報じたGPIFの運用成績に関するニュースの見出しです。2015年度には国内外の株式相場の下落を背景に5.3兆円の運用損を出し、当時の野党であった民進党は「年金損失5兆円追及チーム」を立ち上げ、その活動や国会での追及が連日ニュースで報じられていました。
こうした報道等を背景に、GPIFの運用は失敗しており、国民の年金を無駄にしているという印象をお持ちだった方もいらっしゃったかもしれませんが、こういった損失はグローバル分散投資を行うGPIFにとっては想定内のものであることが分かったと思います。
世界の年金基金と比較しパフォーマンスの良いGPIF
また、昨年2022年の運用成績は、欧米での金融機関の破綻等、市場全体が不景気続きであったため、-4.78%となりました。しかし同年、ノルウェーの年金基金であるGPFG(ノルウェー政府年金基金グローバル)は-7.93%、カリフォルニア州の公的年金であるカルパースは-11.2%と、各国の年金基金はGPIF以上の損失を出しています。
グローバル分散投資にとって大事なのは長期の運用パフォーマンスです。その観点でGPIFは、各国年金基金と比較しても安定的な運用成績を残し、将来の日本国民のために、着実かつ確実に年金積立金を増やしていることが見てとれます。
GPIFのポートフォリオ運用で安定収益を実現
現在のGPIFのポートフォリオは、国内債券、外国債券、国内株式、外国株式それぞれの構成比率を25%とし、運用の過程で、それぞれの資産の構成割合、株式と債券の構成割合が決められた割合からどの程度までの乖離を許容するかも定めています(乖離許容幅)。また、インフラ、不動産、未上場株式といった投資先については、そのリスク・リターンの特性に応じて、4つの区分に分けられ、資産全体の5%までと定めています 。こういったルールを「基本ポートフォリオ」と呼んでおり、現在のものは2020年4月に定められました。
資産額(億円) | 構成割合 | |
---|---|---|
国内債券 | 550,622 | 26.79% |
外国債券 | 501,255 | 24.39% |
国内株式 | 503,337 | 24.29% |
外国株式 | 499,865 | 24.32% |
合計 | 2,055,048 | 100% |
出典:GPIFの基本ポートフォリオ(GPIF 2022年度 業務概況書、p31)
基本ポートフォリオは、GPIFが、それぞれのアセットクラスに関して、リターンとともに、様々なリスクを複数の手法で推計し、運用目的である賃金上昇率+1.7%の実質運用利回りを最低限のリスクテイクで実現するように決定されます。各アセットクラスは多様なリスクとリターンの特性をもっています。例えば、国内外の株式の価格は、長期的には経済成長や企業成長の成果を反映するため、債券と比較し、高いリターンが期待できますが、市場の変動によるリスクも伴います。海外株式には、加えて、為替変動のリスクも内在しています。円高となると、受け取れる円建てのリターンは目減りしてしまいます。一方、債券は、リターンは小さいものの、企業倒産や国家破綻がない限りは安定した収益源として機能し、株式市場の下落時には資産の避難先となり得ます。しかし、海外債券は為替リスクや国家破綻等のカントリーリスクの考慮が必要です。こうした4つの伝統的なアセットクラスに加え、GPIFでは、資産全体の5%を上限に、インフラ、プライベート・エクイティ(未上場株式)、不動産を対象としたオルタナティブ投資を実施しています。これらは4つの伝統的なアセットクラスと比較して、流動性が低いものの、高いリターンが期待できるものです。
このように多種多様なリスクとリターンの特性をもつアセットクラスをうまく組み合わせることで、最低限のリスクで目的のリターンを達成するポートフォリオを組むことができます。例えば、コロナ禍からの回復期であった2021年には外国株式は大きな成長を見せましたが、リーマンショックがあった2008年には大きなマイナスを記録しています。他方、国内債券はそれぞれの年において逆の動きをしております。つまり、それらを組み合わせることで、運用成績でトップになることもないが、ビリになることもない、「安定」した成績を残すことができるのです。
また、厚生労働省は、少なくとも5年に1度のペースで、最新の人口見通しの変化や経済動向を踏まえ、公的年金制度の維持のために、財政検証を行っています。GPIFは、そこで試算された経済成長と労働参加の伸びに関する6つのケースをもとに、年金積立金の推移を試算・検証し、目標運用利回り等を定めており(図表4を参照)、基本ポートフォリオを定める際の一つの参考としています。人口の見通しや経済動向に大きな変化があった場合、年金財政の安定化に求められる収益率が変わってくる場合があるため、財政検証などのマクロ経済の動向も重要な考慮要素の一つです。
図表3:年金積立金の見通し(GPIF 2022年度 業務概況書、p11)
これまでの説明を個人投資家のケースに当てはめてみます。個人投資家は、自分の運用資金とともに、リスク許容度、投資期間、そして目標リターンを明確にする必要があります。リスク許容度は、市場の下落時にどの程度の金銭的ショックに耐えられるかです。端的に言えば、余剰資金での投資か否かとなるでしょう。資金のアクセス可能性も重要であり、緊急時に備えて、一部の資金を流動性の高い資産に保持することも重要です。なるべく少ないリスクで確実に目標リターンを達成できるようなポートフォリオ、つまりアセットクラスの配分を決めるわけです。例えば、積立NISAの制度を使い、余剰資金で20年、30年のスパンでインフレ率以上のリターンを目指す場合であればGPIFの基本ポートフォリオを参考にしたグローバル分散投資を行うことも選択肢に入ります。その場合は、国内株式、海外株式、国内債券、海外債券のインデックス投資信託に対して、投資資金をそれぞれ4分の1ずつ振り分けることが一つの運用ケースとなるでしょう。しかし、現在のGPIFの基本ポートフォリオが定められた2020年と今を比較すると、国内外の金利が上昇し、債券利回りが上昇しています。その場合、自身のリスク許容度や投資目標に照らすと、どういったリアロケーションが必要なのかも考えることが必要です。その検討や、そもそも自身で基本ポートフォリオを決めることが難しいと感じる場合は、投資のプロに相談するのも一つの手です。プロに対して、上に書いたような自分の投資スタイルを説明することで、適切な基本ポートフォリオに関するアドバイスをもらえるでしょう。
GPIFがポートフォリオ運用で行うリバランスとリアロケーションとは?:
長期のグローバル分散投資を行っていくなかで、外部環境の変化に柔軟に対応して、確実に投資目標を達成するために重要な2つのオペレーションがリバランスとリアロケーションです。
ポートフォリオのリバランスとは?資産の変化を調整してバランスを戻す
リバランスとは、アセットの割合を基本ポートフォリオの資産比率に近づけるために、アセットの売買を行うことです。基本ポートフォリオは、様々な要素を考慮したうえで最低限のリスクで必要なリターンが出せる資産構成として算出したものですので、原則、定めた資産比率での運用を行っていくことが重要です。他方、日々の資産価格の変動にあわせて資産構成も変わっていってしまいます。そのため、運用にはある程度の機動性は持たせつつも、大きく基本ポートフォリオの構成比から乖離しないよう、乖離許容幅が定められており、その幅の中に資産構成を納めることが大事です。例えば、国内株式であれば25%±8%となっているため、例えば、国内株式市場が高騰し、全資産における国内資産の割合が増えてきた場合に国内株式を売り、他資産に振り分けることをしています。実際、2023年7月の日経新聞のインタビューに対し、理事長は「(リバランスに関して)週次で調整も」という回答[10] を行っており、必要に応じて頻繁にリバランスを行っていることが分かります。
ポートフォリオのリアロケーションとは?資産の配分を見直し戦略を変更
リアロケーションとは、各アセットクラスがベンチマークとしている金融商品の成績、短期金利、市場時価総額、各アセットのリスクといった各種指標のモニタリングを行い、基本ポートフォリオの検証をし、必要に応じて基本ポートフォリオの資産配分を見直すことです。前述の通り、GPIFの目的は、長期の運用によって、将来世代が年金を受け取れるだけのリターンを最低限のリスクで出すことにあります。しかし、数年、数十年と長期に運用しているなかで大きく変動する市場環境にあわせて、基本ポートフォリオを変更(リアロケーション)することが必要になってきます。実際、GPIFは過去、3回のリアロケーションを行っております。
リバランス・リアロケーションはどのくらいの周期で行うべき?
年金基金をはじめとしたプロの投資家であれば、資産運用会社に投資目的とともに運用を委託することで、リバランス、リアロケーションをしてもらっています。生命保険会社や損害保険会社などの機関投資家であれば、たいていは資産運用会社を抱えており、そこに委託し、連携しています。
個人投資家のリバランス・リアロケーション
他方、資金が限られる個人投資家には、そういったことはできません。個人投資家としてGPIFと同様、グローバル分散投資を行っていくには、基本は最初に決めた基本ポートフォリオに沿った投資信託を中心に積立を続けつつ、株式の急騰や暴落、あるいは金利変動などの大きな市場変動があったとき、あるいは2,3年に一度など期間を決めて、そのときの外部環境にあわせて基本ポートフォリオの見直しを行うことが求められます。
また、ライフステージの変化など、投資目的を変化させる必要が出てきたときにも基本ポートフォリオの見直しが必要になります。投資に関する十分な知識がないのであれば、定期的な健康診断を身体の専門家である医師に行ってもらうように、基本ポートフォリオの見直しに関しても信頼のできる投資のプロに相談をすることが望ましいでしょう。
市場環境の変化や、自身の状況を説明して、自身にあった新しい基本ポートフォリオを組むための相談を投資のプロにしてみましょう。
GPIFのリアロケーション
ここからは、GPIFのこれまでの3回のリアロケーションについて解説します。どういった市場変化がどういったリアロケーションにつながるのか、各アセットクラスの特性を念頭に置きながら読んでみてください。
初期の基本ポートフォリオ
GPIF自体は2001年から運用を開始しておりますが、基本ポートフォリオは、第1期中期目標期間(2006年~2009年度)に定められることになりました。この期間では、国内債券のリスク水準をベースとしつつ、他アセットを組み入れることで実質運用利回り1.1%の達成が目標とされており、「国内債券:67%(±8%)、国内株式:11%(±6%)、外国債券:8%(±5%)、外国株式:9%(±5%)」と、国内債券中心の構成でした。
第2期中期目標後のポートフォリオ
第2期中期目標期間(2010年~2014年度)の当初2013年度までは、同様の基本ポートフォリオが使われていましたが、2012年に会計検査院の報告書において、「暫定ポートフォリオが安全、効率的かつ確実かなどについて中期目標期間中に定期的に検証することを検討する」こと等の指摘があり、2013年6月から国内債券の割合を少し減らした「国内債券:60%(±8%)、国内株式:12%(±6%)、外国債券:11%(±5%)、外国株式:12%(±5%)」というポートフォリオが採用されました。
2014年にポートフォリオの見直し
厚生労働省が行う年金財政の検証が2014年に実施され、同時に厚生労働大臣からも検証を踏まえた基本ポートフォリオの見直しの要請がなされました。当時、デフレ脱却をはじめ物価・賃金の上昇が想定されるなか、国内債券中心の運用では賃金上昇率+1.7%の実質運用利回りの達成は困難であるとの判断があり、株式等の下振れリスクを十分に考慮したうえで、国内債券を大幅に減らした「国内債券:35%(±10%)、国内株式:25%(±9%)、外国債券:15%(±4%)、外国株式:25%(±8%)」というポートフォリオが採用されました。また、この基本ポートフォリオからオルタナティブ資産での運用についても追加されています。
2020年度から現在のポートフォリオへ
2020年度から5年間の第4期中期目標期間にあわせて、3回目のリアロケーションが行われました。当時、世界的に低インフレ、低金利の時代であったため、相対的に国内債券の利回りが低かったことから、国内債券への分配を減らした「国内債券:25%(±7%)、国内株式:25%(±6%)、外国債券:15%(±8%)、外国株式:25%(±7%)」という基本ポートフォリオとなりました。さらに、株式リスクの管理強化のために、株式は50%±11%、債券は50%±13%という乖離許容幅が定められました。
出典:現在のポートフォリオ(2020年4月より)
ESG投資を通じた環境・社会課題への貢献:
気候変動などの地球規模の課題から人権問題などの社会問題が、事業活動に与える影響が今後さらに大きくなることが予想されています。そうしたなか、昨今投資の分野で重視されてきているのがESG(環境:Environment, 社会:Social, ガバナンス:Governance)の考え方であり、投資の際に、環境問題、社会問題、企業のガバナンスといった要素を考慮した投資を行うことをESG投資といいます。環境問題への対処が不足していたため、事業活動を停止することを余儀なくされる例も出てきています。一つの例が、カリフォルニア州の大手電力・ガスのPG&E社です。2017年と18年にカリフォルニア州で発生した山火事の原因が大手電力・ガスのPG&E社にあるとされ、同社は巨額の賠償金を背負い、破産してしまいました。つまり、ESGを考慮しない投資を行うことは、企業の破産など大きなリスクを背負っているといえます。
GPIFのESG投資
GPIFのように超長期の視点で投資を行う場合、将来を見据えたESGの視点も重要な要素となります。GPIFは2015年にPRIに署名し、ESG投資を開始、現在では国内株式において、8つのESGインデックス(FTSE Blossom Japan Index等)を選定し、それらインデックスに連動する形で12兆円を超えるESG投資を行っております。GPIFはその投資規模の大きさから、投資トレンドをも大きく動かします。実際、GPIFがESG投資を開始した2015年から日本のESG投資残高は大きく伸びました。
個人投資家のESG投資
個人投資家であっても、単純に金銭的リターンのみを求めるのでなく、ESGの要素を考慮した投資信託商品等に投資資金を振り分けるのも、長期的な投資リターンの観点のみならず、社会貢献の観点からも重要であるといえます。特に大きな資金を動かす場合であればあるほど、投資をしないことで環境を無視した事業活動を行う企業を市場から退出させ、環境などを考慮した企業の成長を投資によって後押しすることが投資家の責任だとする考え方もあります。個人投資家であっても、地球温暖化をはじめ様々な課題が山積する今の時代において、20年~30年後といった未来にどういった社会を実現していたいかを念頭におきながら、ESGを考慮した投資に対して一部資金を振り分けることも一考の価値があるでしょう。
GPIFポートフォリオを参考にした資産運用の考え方
ここまで説明したGPIFの運用から個人投資家は何を学び、どのように自身の投資に活かせばいいでしょうか。GPIFの資産運用に倣い、個人投資家はまず、自分のリスク許容度、投資期間、目標リターンを明確にする必要があります。
そのうえで、市場環境、アセットクラスの特性、投資のスタイルを踏まえた基本ポートフォリオを定めます。基本ポートフォリオにそって積立投資を行いつつ、定期的に市場環境や自身の状況に合わせて見直しを行うことが大切です。
また、ライフステージの変化や投資目的の変更があった場合にもポートフォリオの見直しが必要です。しかし、基本ポートフォリオの決定やその見直しには専門的な知識が必要となるため、難しいと感じる場合は、投資のプロの知見を活用してみましょう。一度、まずは基本ポートフォリオを決めるためにも、自身の投資の目的や運用資金などについて投資のプロに相談してみてはどうでしょうか。
投資のプロとも長期的な信頼関係性を築くことで、ライフステージに沿って、自身の資金の問題を解決するための資産運用に関するアドバイスが貰えるはずです。
まとめ
この記事では、日本の公的年金基金であり世界最大の機関投資家であるGPIFのポートフォリオ戦略を紹介し、個人投資家がどのように参考にできるかを説明しました。GPIFのような大規模な基金が採用するポートフォリオの資産構成比、リバランスやリアロケーションの手法、さらにESG投資への取り組みは、リスクを抑えつつ長期的な資産成長を実現するための優れた参考となります。このような大規模な基金の運用方法から学ぶことで、個人投資家も長期的な視点を持ち、リスクを適切に管理しながら資産を成長させることが可能になります。GPIFのポートフォリオを参考に、少ないリスクテイクで、安定した収益を目指す分散投資を始めてみませんか。
投資のコンシェルジュ編集部
MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
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GPIF
GPIFとはGovernment Pension Investment Fundの略で、日本の年金積立金管理運用独立行政法人のこと。預託された公的年金積立金の管理、運用を行っている。 年金保険料から集められた公的年金積立金は、厚生労働大臣の預託により、GPIFが信託銀行や投資顧問会社などの運用受託機関を通して国内外の債券市場や株式市場で運用し、運用収益とともに年金給付の原資としている。 公的年金という性質上、長期的に安全かつ効率的な観点が重視されますが、2014年度以降、運用改善の流れからリスク運用の比率が高まり、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%という基本ポートフォリオが組まれてきた。2020年4月から5年間の第4期中期目標期間においては、各25%ずつに変更されている。
リバランス
ポートフォリオを構築した後、相場変動などで変化した投資配分比率を見直し、値上がりした資産・銘柄を売り、値下がりをした資産・銘柄を買い増す、などによって、ポートフォリオの構成を同じ比率に維持していく手法。
アセットアロケーション
アセットアロケーション(Asset allocation)とは資産配分という意味で、資金を複数のアセットクラス(資産グループ)に投資することで、投資リスクを分散しながらリターンを獲得するための資産運用方法。アセットアロケーションは戦略的アセットアロケーションと戦術的アセットアロケーションの2つを組み合わせることで行われ、前者は中長期的に投資目的・リスク許容度・投資機関に基づいて資産配分を決定し、後者は短期的に投資対象の資産特性に基づいて資産配分を決定する。
ポートフォリオ運用
投資資金を株式や債券など異なる複数のアセット(資産)に分けて投資する運用手法で、広義で分散投資を指す。値動きが異なる資産を組み合わせることで、価格変動リスクを低減させることが可能。
モデル・ポートフォリオ
投資家の判断材料として、実際の運用前に組入資産の国別比率や通貨別配分比率、さらに上位組入銘柄などを示したもの。 なお、運用成績のイメージをつかむために、ベンチマークの過去の一定期間におけるリターンやリスクと比較して例示する場合もある。 実際の運用とは異なる可能性があるという前提での参考データの扱いとなる。 これとは別に、資産運用における分散投資のアドバイスとして、投資家のリスク許容度に応じた複数の投信の組み合わせをいくつかにモデル化したパターンを指す場合もある。
アセットクラス
アセットクラスとは似たような特徴を持つ資産のグループのこと。アセットクラスは大きく分けて株式や債券などの伝統的アセットクラスと、ヘッジファンドや不動産などの代替アセットクラスの2つに分けられる。