新NISAの対象商品でもあるETFと投資信託について比較ポイントと選び方を解説
難易度:
執筆者:
公開:
2024.06.19
更新:
2024.06.20
目次
ETFと投資信託(インデックス)を購入するときの比較ポイント
成長投資枠で対象となるアクティブファンドとアクティブETF比較のポイント
2024年に非課税制度であるNISAは抜本的に改正されました。新NISAは長期的な資産運用が目的であることに変わりはありませんが、大きく制度が拡充されたのをご存知でしょうか?
新NISAにはつみたて投資枠と成長投資枠があり、成長投資枠については、個別株式の利用もできますが、つみたて投資枠はETFと投資信託の利用しかできません。またすべての投資商品が対象なわけではなく、金融庁の基準を満たした商品のみが対象となります。
ETFと投資信託は一般的な投資商品ではありますが、その違いについてわからない方もいらっしゃるのではないでしょうか?そこで今回は、新NISAで投資できるETFと投資信託の金融商品としての違いについて説明をします。
新NISAの概要
2024年にNISA制度は大きく変わりました。新NISAの概要は以下の通りです。
NISAは通常利益に対して20.315%の税金がかかるところ、非課税になりますので、NISAの利用ができるのも投資信託の大きなメリットです。
新NISAつみたて投資枠の対象となっているETFと投資信託
新NISAのつみたて投資枠で利用できるETFと投資信託にはいくつかの要件があります。すべての商品が対象ではありませんので、注意してください。
つみたて投資枠の対象要件
つみたて投資枠の主な対象要件は以下の通りです。
- 主たる投資の対象資産に株式を含むこと(ETFの場合は投資の対象資産が株式であること)
- 販売手数料ゼロ(ノーロード)(ETFの場合は販売手数料1.25%以下)
- 信託報酬が一定水準以下
- 信託契約期間が無期限または20年以上
- 分配頻度が毎月でない
- デリバティブ取引による運用を行っていない(ヘッジ目的の場合等を除く)
このようにコストを抑えた長期の積立・分散投資に適した限られた商品がつみたて投資枠の対象商品になっています。
ETFと投資信託(インデックス)を購入するときの比較ポイント
ETFとインデックスファンドの主な違いをまとめました。
投資信託(インデックス) | ETF | |
---|---|---|
上場 | していない | している |
販売会社 | 取扱い証券会社、銀行など | 証券会社 |
取引価格 | 1日1回算出される基準価額 | 市場価格 |
取引可能 時間 | 販売会社が決める時間 | 取引所立会時間(リアルタイム) |
発注方法 | 成行/指値はできない | 成行/指値ができる |
購入時 手数料 | かからないもの (ノードローファンド)が多い | かかる |
信託報酬 | ETFより一般的に高い | インデックスファンドより 一般的に安い |
最低 購入金額 | 100円から | 取引価格×1取引単位 通常は1万円~10万円程度 |
分配金の 自動再投資 | あり | なし |
投資初心者や毎日の価格を確認したくない方に関しては、投資信託での運用が良いでしょう。
コストは投資信託の方が高いケースが多いですが、つみたて投資を自動的に行いたい方も投資信託が向いています。
一方、投資に詳しく、リアルタイムでの売買をしたい方やコストを抑えたい方はETFが向いています。
新NISAの成長投資枠
新NISAの成長投資枠は投資信託やETFだけではなく、個別株式など幅広い商品が対象になっています。
つみたて投資枠に比べて対象商品が多いため、選択肢が広く、自由度が高いのが特徴です。
ただし、成長投資枠もすべての投資信託やETFが対象というわけではありません。
成長投資枠で利用できるETFと投資信託の主な要件は以下の通りです。
- 信託期間が無期限または20年以上
- 高レバレッジ型などのデリバティブ取引を用いた一定の商品ではない
- 毎月分配型の商品ではない
成長投資枠で対象となるアクティブファンドとアクティブETF比較のポイント
成長投資枠で対象となる投資信託のアクティブファンドとアクティブETFの違いについてまとめました。
ETF | 投資信託 | |
---|---|---|
アクティブ運用型 | アクティブ・ファンド | |
連動指標 | なし | なし |
保有銘柄の開示 | 日次で開示 | なし |
販売会社 | 証券会社 | 銀行・証券会社 |
上場・非上場 | 上場 | 非上場 |
取引価格 | 市場での時価(成行・指値注文) | 1日1回算出される基準価額 (注文時点では価格が不明) |
信用取引 | 可 | 不可 |
購入時 | 売買手数料 | 購入時手数料 |
売却時 | 売買手数料 | 信託財産留保額 |
保有期間中 | 信託報酬 | 信託報酬 |
新NISAにあわせて、いくつかアクティブETFが日本でも導入されました。
アクティブファンドは、投資信託のため、リアルタイムの価格での購入はできません。一方、アクティブETFについては、リアルタイムの価格での売買が可能です。
毎日、価格を追えない方はアクティブファンドの利用が良いでしょう。一方、投資に詳しくリアルタイムでの売買を行いたい方はアクティブETFの利用がおすすめです。
非課税枠を消費せずに収益の再投資が可能なファンドが新NISAでは有利
新NISAは非課税枠が再利用可能ですが、即日復活するわけではありません。
特にETFは基本的に分配金を再投資する仕組みがないため、購入時の簿価を起点とした新NISAでは、分配金が自動で再投資に回る投資信託のほうが有利になりやすいです。
非課税枠をより、効率的に利用したい方はETFではなく、投資信託の利用が良いでしょう。
まとめ
今回は、新NISAの対象となるETFと投資信託の比較のポイントと選び方について説明をしました。
ETFはリアルタイムでの売買ができ、コストが投資信託に比べて一般的に低いのが特徴です。
一方、投資信託に関しては、分配金が自動で再投資に回るため、非課税枠をより効率的に利用したい方に向いています。
ぜひ今回の記事を参考にしていただき、ご自身に合った商品を選び、新NISAをフルに生かしていただければ幸いです。
投資のコンシェルジュ編集部
MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
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NISA
「Nippon Individual Saving Account」の略(少額投資非課税制度)。 日本における株式や投資信託の投資金における売却益と配当への税率を一定の制限の元で非課税とする制度。 金融機関において、この制度が適用される非課税口座を、通常の取引口座とは別に開設する必要がある。
投資信託
投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品。 その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組み。 集めた資金をどのような対象に投資するかについては、投資信託ごとの運用方針に基づき専門家が行う。
分配金
投資信託の収益から投資家に還元するお金のこと。 決算時に支払われるのが一般的。 ただし、運用成果や今後の運用戦略を考慮したうえで運用会社が決めるため、決算期ごとに毎回支払われるとは限らず、金額も未定。 分配金の支払い原資は投資信託の資産であり、分配金を支払うと資産は減る。 このため、分配金を支払うことで、その分だけ基準価額が下がる。