海外赴任で米国に住む予定です。資産運用はどこまで自由にできますか?
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2025/04/15 13:52
男性
40代
海外赴任中の資産運用について、どこまで自由に行えるのか知りたいです。米国に赴任予定ですが、現地で証券口座を開設して投資を行うことは可能なのでしょうか。また、日本国内に保有している資産とのバランスをどう考えるべきか、為替リスクを含めてアドバイスがあれば教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
米国への赴任中でも、基本的には現地の証券口座を開設し、株式や投資信託などに投資を行うことは可能です。Social Security Number(SSN)やIndividual Taxpayer Identification Number(ITIN)などの税務番号を取得することで、401(k)やIRAといった米国の税制優遇制度を利用できる場合もあります。ただし、これらの制度の利用にはビザの種類や雇用条件、税法上の要件が関係してくるため、勤務先や現地の金融機関、税務専門家の助言を受けながら手続きを進めることが重要です。
一方で、日本国内で保有している資産についても注意が必要です。NISAやiDeCoは、非居住者になると新たな拠出や取引が制限される場合があります。特にNISA口座は、原則として非居住者が継続利用できないため、出国前に証券会社へ確認し、特定口座などへの切り替え対応を取っておくことが推奨されます。
資産配分については、現地通貨(米ドル)と日本円とのバランスを意識した分散投資が大切です。米ドル建て資産が増えることで為替リスクも高まるため、日本円建て資産を一定程度維持しておくことで、将来の帰国後の生活費や支出との通貨ミスマッチを避けやすくなります。
居住国が変わると、金融制度や税制も大きく変化するため、運用方針も柔軟に見直す必要があります。赴任先・日本の双方の制度や税務をふまえたうえで、現地と日本の専門家からの助言を得ながら、長期的な視点で戦略を構築することが望ましいでしょう。
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SSN(社会保障番号)
SSNとは「Social Security Number(社会保障番号)」の略で、アメリカで個人を識別するために用いられる9桁の番号です。もともとは年金(社会保障)の管理を目的として導入されましたが、現在では納税、雇用、銀行口座の開設、投資口座の開設など、幅広い場面で必要とされる個人識別番号として機能しています。アメリカ市民だけでなく、特定のビザで滞在する外国人にも発行されることがあり、金融機関が顧客の本人確認や税務報告を行う際にも使用されます。特に資産運用においては、IRS(アメリカ国税庁)への報告義務があるため、SSNの提出が求められる場面が多くあります。SSNは個人情報の中でも非常に重要なものであり、不正利用を防ぐための厳重な管理が必要です。
ITIN(個人納税者番号)
ITINとは「Individual Taxpayer Identification Number(個人納税者番号)」の略で、アメリカで社会保障番号(SSN)を持たない外国人などが、税務手続きのために取得する識別番号です。主にアメリカに居住していない投資家や、就労資格はないが税金を支払う義務のある人が対象となります。たとえば、アメリカの金融商品に投資して配当や利息を得た場合、IRS(アメリカ国税庁)に正しく申告し税務処理を行うために、ITINの取得が求められます。ITINは納税や税務書類の提出のために使われるものであり、就労許可や社会保障給付の資格を与えるものではありません。アメリカとの関係で課税が発生する外国人にとって、正しい税務管理を行うための重要な番号です。
401k
401kとは、アメリカで導入されている企業型の確定拠出年金制度のことを指し、従業員が自分の給与の一部を積み立てて老後資金を準備する仕組みです。従業員が拠出する掛金には税制上の優遇があり、積立時の掛金が非課税となるほか、運用益も一定期間は課税されません。企業が掛金を上乗せして支援するケースも多く、個人と企業の両方で老後の資産形成を行う点が特徴です。投資対象は株式や債券、投資信託など多岐にわたり、運用成果によって将来受け取る年金額が変動します。日本でいうところの「企業型確定拠出年金」に近い制度であり、アメリカで働く人々にとって代表的な年金準備手段のひとつとなっています。資産運用を考えるうえで、国ごとの年金制度の理解も重要な視点です。
IRA(個人退職口座)
IRAとは、「Individual Retirement Account(個人退職口座)」の略で、アメリカにおける個人向けの退職資金準備制度のひとつです。個人が自ら開設し、老後のために積み立てを行うことができる制度で、税制上の優遇措置が設けられている点が特徴です。IRAにはいくつかの種類があり、たとえば「トラディショナルIRA」は拠出時に所得控除が受けられ、運用益も引き出すまで非課税となります。一方で「ロスIRA」は拠出時に控除はありませんが、将来の引き出し時に非課税となるメリットがあります。いずれも個人の裁量で投資先を選び、株式や投資信託などで運用することができます。アメリカに住む人々が自助努力で老後の資産を形成するための基本的な制度であり、日本の「iDeCo(個人型確定拠出年金)」に近い仕組みです。
NISA
NISAとは、「少額投資非課税制度(Nippon Individual Saving Account)」の略称で、日本に住む個人が一定額までの投資について、配当金や売却益などにかかる税金が非課税になる制度です。通常、株式や投資信託などで得られる利益には約20%の税金がかかりますが、NISA口座を使えばその税金がかからず、効率的に資産形成を行うことができます。2024年からは新しいNISA制度が始まり、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2つを併用できる仕組みとなり、非課税期間も無期限化されました。年間の投資枠や口座の開設先は決められており、原則として1人1口座しか持てません。NISAは投資初心者にも利用しやすい制度として広く普及しており、長期的な資産形成を支援する国の税制優遇措置のひとつです。
iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。