エンジェル税制を利用することで得られる主なメリットは何ですか?
回答受付中
0
2025/04/07 11:26
男性
40代
エンジェル税制を利用することで、具体的にどのようなメリットが得られるのか知りたいです。特に、税制優遇の仕組みや投資リスク軽減にどのように役立つのか詳しく教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
エンジェル税制を活用することで、主に「税制優遇」と「リスク軽減」の2つのメリットを得ることができます。スタートアップ投資における税負担を抑えつつ、損失リスクにも一定の備えができる制度として、投資家から注目を集めています。
まず税制優遇の面では、「優遇措置A」「優遇措置B」の2つのタイプが用意されています。優遇措置Aでは、投資額の最大40%が所得控除の対象となり、課税所得を減らすことができます。一方、優遇措置Bでは、投資額の全額を、将来その株式を売却して得た譲渡益から控除できる仕組みとなっており、売却時の税負担を大きく抑えることが可能です。
また、特定の条件を満たす場合に適用される「プレシード・シード特例」や「起業特例」では、投資額の一部が非課税扱いとなり、最大で20億円の譲渡益に対する課税を免除できるケースもあります。これらの制度をうまく活用することで、スタートアップへの投資を行いやすくなります。
次にリスク軽減の観点ですが、仮に投資先企業の業績が伸びず、損失が発生した場合でも、その損失を他の株式の譲渡益と損益通算することができます。同一年内の譲渡益と相殺できるほか、控除しきれなかった損失は最大3年間繰り越して控除することが可能です。これにより、リスクの高いスタートアップ投資においても、税制上のフォローが受けられる点は大きな魅力といえるでしょう。
さらに、エンジェル税制を活用してスタートアップ企業への投資を行うことは、単に利益を追求するだけでなく、将来性のある企業や社会課題の解決に挑むビジネスを支援するという意味でも意義深い活動です。社会的なリターンも含めた投資判断の一助として、この制度を活用する価値は十分にあります。
なお、エンジェル税制を利用するには、対象となる企業が一定の認定基準を満たしている必要があり、適用にあたっては確定申告を通じた手続きも必要になります。また、制度の内容は年度によって変更されることもあるため、実際に活用する際には、最新の税制情報を確認したり、専門家に相談したりすることが重要です。
関連記事
関連質問
関連する専門用語
所得控除
所得控除とは、個人の所得にかかる税金を計算する際に、特定の支出や条件に基づいて課税対象となる所得額を減らす仕組みである。日本では、医療費控除や生命保険料控除、扶養控除などがあり、納税者の生活状況に応じて税負担を軽減する役割を果たす。これにより、所得が同じでも控除を活用することで実際の税額が変わることがある。控除額が大きいほど課税所得が減少し、納税者の手取り額が増えるため、適切な活用が重要である。
エンジェル税制
エンジェル税制とは、個人投資家が投資時・株式売却時に受けることができる税制上の優遇措置を定めた税制。ベンチャー企業に対する投資の促進を図る観点から国税庁によって定められている。ベンチャー企業に投資した年、未上場ベンチャー企業株式を売却して売却損益が発生した年にそれぞれ優遇措置を受けることができる。
非課税措置
非課税措置とは、特定の条件を満たす場合に税金の支払いが免除される制度のことを指します。資産運用においては、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)などが代表的な例で、一定額までの運用益が非課税となります。また、相続税や贈与税の軽減措置としても適用されることがあり、資産形成や世代間の資産移転において有効な手段となります。適用要件や上限額を理解し、適切に活用することが資産管理の鍵となります。
損失繰越控除
損失繰越控除とは、ある年度に発生した損失を翌年以降の所得から差し引くことで、税負担を軽減する制度のことを指します。法人税や所得税の計算に適用され、例えば事業年度内に赤字となった企業は、翌年度以降の黒字所得と相殺することで税負担を抑えることができます。特にスタートアップや新規事業においては、初期投資がかさみ赤字となることが多いため、この制度を活用することで資金繰りを安定させることが可能です。適用には一定の要件があるため、事前に確認しておくことが重要です。
確定申告
確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を計算して翌年の2月16日から3月15日に申告し、納税する手続き。多くの会社では年末調整を経理部がしてくれるが、確定申告をすると年末調整では受けられない控除を受けることができる場合もある。確定申告をする必要がある人が確定申告をしないと加算税や延滞税が発生する。