為替リスクに備えるにはどうすればいいですか?
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2025/04/15 14:10
男性
40代
海外赴任で米ドル建て資産が増えていますが、今後円高に振れた場合に資産価値が目減りすることが心配です。個人レベルで為替リスクに対応するには、どのような選択肢があるのでしょうか?送金のタイミングや資産構成の工夫など、実践的な方法があれば教えてください。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
為替リスクに備えるうえで最も基本となるのは、円建てと外貨建て資産のバランスを意識した資産配分です。海外赴任中は米ドル建て資産が自然と増える傾向にありますが、円高に振れた場合、これらの外貨資産の価値が円換算で目減りするリスクがあります。こうした為替リスクに対しては、いくつかの実践的な対応策があります。
まず有効なのが、送金や資金移動の「時間分散」です。為替相場は短期的に変動しやすいため、まとまった金額を一度に円転するのではなく、複数回に分けて少しずつ両替・送金を行うことで、為替変動の影響を平均化できます。たとえば「毎月一定額を日本に送金する」ような定額型の仕組みを活用することで、為替タイミングの分散が図れます。
次に、為替ヘッジ付きの投資商品を活用するという選択肢もあります。為替ヘッジ機能が組み込まれた投資信託やETFを取り入れることで、為替変動による資産評価の変動を抑える効果が期待できます。ただし、ヘッジにはコストがかかる場合があり、通貨や金利の状況によってはリターンが抑制されることもあるため、商品の内容をよく理解した上で選定することが大切です。
また、帰国時期が近づいてきたタイミングでは、ドル建てで保有している資産の一部を計画的に円に戻しておくことで、為替変動リスクを低減できます。一括での円転ではなく、段階的に実行することで為替急変の影響を和らげることができます。
加えて、金融機関ごとの為替手数料や送金手数料、取り扱い通貨の違いにも注意が必要です。高額の資金を移動させる場合には、手数料差が大きなコスト要因になるため、事前に比較・確認しておくことをおすすめします。
為替リスクへの対応は、単なるテクニックではなく、ライフプランや帰国時期、資産全体の設計と連動して考えるべきテーマです。判断に迷う場合は、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)などの専門家と相談しながら、長期的視点での為替戦略を組み立てると安心です。
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時間分散
時間分散とは、投資のタイミングを複数回に分けることで、相場の変動リスクを軽減する方法です。ドルコスト平均法はこの時間分散の考え方を活用した投資手法で、価格の高低に左右されにくく、平均購入価格を抑えることが可能です。
為替ヘッジ
為替ヘッジとは、為替取引をする際に、将来交換する為替レートをあらかじめ予約しておくことによって、為替変動のリスクを抑える仕組み。海外の株や債券に投資する際は、その株や債券の価値が下がるリスクだけでなく、為替の変動により円に換算した時の価値が下がるリスクも負うことになるので、後者のリスクを抑えるために為替ヘッジが行われる。
ETF(上場投資信託)
ETF(上場投資信託)とは、証券取引所で株式のように売買できる投資信託のことです。日経平均やS&P500といった株価指数、コモディティ(原油や金など)に連動するものが多く、1つのETFを買うだけで幅広い銘柄に分散投資できるのが特徴です。通常の投資信託に比べて手数料が低く、価格がリアルタイムで変動するため、売買のタイミングを柔軟に選べます。コストを抑えながら分散投資をしたい人や、長期運用を考えている投資家にとって便利な選択肢です。
円転
円転とは、外貨で保有している資産や受け取ったお金を日本円に換えることを指します。たとえば、外貨建て債券の利息や元本を受け取ったあと、それを日本円に両替する行為が円転にあたります。為替レートの影響を受けるため、円高のときに円転すれば受け取る円の金額が少なくなり、円安のときには多くなる傾向があります。そのため、いつ円転するかが投資の成果に大きく影響することもあります。外貨で運用している資産を最終的に日本で使う予定がある場合、この円転のタイミングや為替リスクへの備えがとても重要になります。