
国債は儲かるの?投資先としてのメリット・デメリットを徹底解説
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公開:
2025.02.10
更新:
2025.02.10
目次
投資を始めると、「国債は安全だけど儲からない」と聞くことがあるかもしれません。実際のところ、国債は本当に儲からないのでしょうか?この記事では、国債の収益構造や他の投資商品との比較、投資対象としてのメリット・デメリットを解説し、どのような投資家に向いているのかを考察します。
国債は儲かるの?基本的な収益構造
国債とは、政府が発行する債券のことです。個人向け国債や10年物国債など、さまざまな種類がありますが、基本的には利回り(年ごとの利息収入)を得る仕組みです。
国債の利回りの仕組み
国債の収益は主にクーポン(利子)と額面価格と購入価格の差から生じます。
- クーポン(固定利付国債の場合):一定の利率で毎年(または半年ごと)に利子を受け取る。
- 額面と購入価格の差(変動利付国債や割引国債の場合):発行時に割引価格で購入し、満期時に額面価格を受け取ることで利益を得る。
2024年時点の国債利回りの実績
2024年時点では、日本の国債の利回りは以下のようになっていました
- 個人向け国債(変動10年型):0.3%~0.6%程度
- 10年物国債(市場取引):約1.0%
- 米国10年国債:約4.5%
過去に比べると日本の金利はやや上昇していますが、依然として他国と比べると低い水準です。
国債の収益性を他の投資と比較
国債のリターンは、他の投資手段と比べてどうなのでしょうか?いくつかの代表的な資産クラスと比較してみましょう。
国債と株式投資の収益性比較
比較項目 | 国債 | 株式投資 |
---|---|---|
収益性 | 低い(0.3~1.0%程度) | 高い(年率5~7%以上も可能) |
リスク | 低い(元本保証) | 高い(価格変動が大きい) |
流動性 | 低い(満期まで保有が基本) | 高い(いつでも売買可能) |
国債は低リスク・低リターン、株式は高リスク・高リターンという対照的な性質を持っています。
国債と債券ETFの収益性比較
比較項目 | 国債 | 債券ETF |
---|---|---|
収益性 | 固定された利回り | 市場の金利や価格変動の影響を受ける |
リスク | 低い | やや高い(価格が変動) |
流動性 | 低い | 高い(市場で売買可能) |
債券ETFは分散投資が可能で、国債よりも流動性が高いですが、市場変動の影響を受けやすい点に注意が必要です。
国債と銀行定期預金の収益性比較
比較項目 | 国債 | 銀行定期預金 |
---|---|---|
収益性 | やや高い(0.3~1.0%) | 非常に低い(0.002~0.2%) |
リスク | 低い(国の保証) | 低い(銀行の保証) |
流動性 | 低い | 低い(満期前解約のペナルティあり) |
銀行定期預金よりも国債の方が利回りは高い傾向にあります。
国債が「儲からない」と言われる理由
「国債は儲からない」と言われるのには、主に以下3つのような理由があります。
- インフレに弱い
- 金利が低い
- 元本保証はあるがリターンは限定的
以下で詳しく説明します。
1.インフレに弱い
国債の利回りはインフレ率を上回らない場合が多いため、実質的な購買力が低下する可能性があります。
2.金利が低い
日本の金利は歴史的に低く、国債の利回りも低水準にとどまっています。特に個人向け国債の最低金利は0.05%で、超低金利環境ではほとんどリターンが期待できません。
3.元本保証はあるがリターンは限定的
国債は元本保証という大きなメリットがありますが、その分リターンも制限されており、大きな資産成長を狙うには不向きです。
国債が向いている投資家タイプ
国債はすべての投資家に向いているわけではありません。どのような人が国債投資に適しているのかを考えてみましょう。
低リスク資産としての活用
- リスクを抑えながら資産を運用したい人
- 大きな値動きを避けたい人
特に退職後の資産運用や資産の一部を安全資産として確保したい人には適しています。
資産の一部として安全資産を確保したい人
ポートフォリオの一部として安全資産を持ちたい場合、国債は有効です。
- 例:株式60%+国債40%
- 目的:市場の変動リスクを軽減
このようにリスク分散の手段として国債を活用するのも一つの方法です。
まとめ
国債は大きく儲かる投資ではないものの、安全性が高く、特定の投資家には有用な資産です。
-低リスク・低リターンで元本保証がある
-インフレや低金利の影響を受けやすい
-安全資産としての活用が有効
-高リターンを求めるなら他の資産と組み合わせるべき
投資初心者でもリスクを抑えながら資産形成を始めたい場合には、国債を選択肢の一つとして検討する価値があります。ただし、リターンを重視するなら株式や債券ETFなどの資産と組み合わせることが重要です。
国債を活用しながら、自分に合った投資戦略を考えてみましょう!

MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
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関連する専門用語
国債
発行体が各国中央政府の債券を国債といいます。発行目的や利払い方式などで種類が分別されます。中央政府に資金需要が発生した際に、国債を発行して資金の調達を行うことがあります。 投資家は国債を購入することで、発行体である中央政府へ資金を提供し、その見返りとして半年に1回などのペースで、中央政府から利子を受け取ります。償還期限までに中央政府の財政が悪化するなど、債務が履行されない状況に陥らなければ、満期には額面どおりの金額が投資家へ償還される仕組みです。 国債には、固定利付国債、変動利付国債、物価連動国債などがあります。
利回り
投資金額に対する収益の割合のこと。この収益には「利息」だけでなく、投資商品を売却した場合に得られる「売却損益」も含む。通常は1年間の「年利回り」のことを利回りと呼ぶことが多い。利回りには単利と複利が存在する。
クーポン(利息)
クーポンとは、債券を保有している投資家が発行体(国や企業)から定期的に受け取る利息のことです。クーポンの金額は、債券発行時に設定された利率(クーポン利率)に基づき計算されます。通常、半年ごとまたは1年ごとに支払われることが多いです。クーポン収入は安定したキャッシュフローをもたらし、特に長期保有する債券投資家にとって重要な収益源となります。
変動利付国債
市場金利の変動に応じて利率(クーポン)が変動する国債。一定期間ごとに利率が再設定され、金利上昇時には利払い額が増加するが、金利が低下すると利払い額も減少する。
利付債
定期的に利息(クーポン)が支払われる債券。利付債には、償還までの利率が発行時に決まっている「固定利付債」と償還までに利率が変動する「変動利付債」の2種類が存在。
流動性
資産を「現金に変えやすいかどうか」を表す指標です。流動性が高い資産は、短時間で簡単に売買でき、現金化しやすいという特徴があります。例えば、上場株式や国債は市場で取引量が多く、いつでも売買できるため、流動性が高い資産とされています。 一方、不動産や未上場株式のように、売買相手を見つけるのが難しかったり、取引に時間がかかったりする資産は、流動性が低いといえます。 投資をする際には、自分が必要なときに資金を取り出せるかを考えることが重要です。特に初心者は、流動性が高い資産を選ぶことで、急な資金需要にも対応しやすく、リスクを抑えることができます。
固定利付国債
一定の利率(クーポン)が満期まで変わらない国債のこと。発行時に設定された金利が、満期まで固定されており、景気や市場金利の変動に関係なく同じ利息を受け取ることができる。金利変動の影響を受けにくいため、安定した収益を得たい投資家に適している。
流動性
資産を「現金に変えやすいかどうか」を表す指標です。流動性が高い資産は、短時間で簡単に売買でき、現金化しやすいという特徴があります。例えば、上場株式や国債は市場で取引量が多く、いつでも売買できるため、流動性が高い資産とされています。 一方、不動産や未上場株式のように、売買相手を見つけるのが難しかったり、取引に時間がかかったりする資産は、流動性が低いといえます。 投資をする際には、自分が必要なときに資金を取り出せるかを考えることが重要です。特に初心者は、流動性が高い資産を選ぶことで、急な資金需要にも対応しやすく、リスクを抑えることができます。
ポートフォリオ
ポートフォリオとは、資産運用における投資対象の組み合わせを指します。分散投資を目的として、株式、債券、不動産、オルタナティブ資産などの異なる資産クラスを適切な比率で構成します。投資家のリスク許容度や目標に応じてポートフォリオを設計し、リスクとリターンのバランスを最適化します。また、運用期間中に市場状況が変化した場合には、リバランスを通じて当初の配分比率を維持します。ポートフォリオ管理は、リスク管理の重要な手法です。
リスク
価格の振れ幅のこと、一般に「標準偏差」という数値で表す。 数値が大きければ振れ幅が大きく、小さければ振れ幅も小さい。投資資産の価格変動の大きさの目安。
リターン
運用の結果得られる収益率(または損失率)のこと