新NISAの対象!アクティブETFの仕組みやメリット・デメリットを解説
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公開:
2024.11.07
更新:
2024.11.07
日本で購入できるETF(上場投資信託)は、これまでインデックス連動型のパッシブETFだけでした。
しかし、2023年9月、日本でもアクティブETFが上場し、インデックス連動型以外のETFを購入できるようになりました。アクティブETFは世界で総資産額が約60兆円を超える人気の金融商品です。
パッシブETFが日経平均株価やS&P500などの指数に連動するのに対し、アクティブETFはファンドマネージャーの判断で運用されます。特定の指標に縛られないため、投資の幅が広がります。
そこで今回はアクティブETFについて詳しく解説をします。わかりやすく紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
アクティブETFとはどんな仕組み?
ETF(Exchange Traded Fund)とは「上場投資信託」のことです。通常のETFはTOPIXやS&P500といった特定の指数に連動しますが、アクティブETFはファンドマネージャーの裁量で運用される点が特徴です。
ETFと一般の投資信託の大きな違いは、リアルタイムでの売買が可能な点です。投資信託の基準価額が1日1回しか変更されないのに対し、ETFは証券取引所に上場されているため、市場の動きに応じて価格が変動します。
アクティブETFは、このETFの特徴を持ちながら、ファンドマネージャーの運用スキルによってパッシブ運用以上の利益を目指します。
参考:ETFとは?投資信託との違いやメリット・デメリットを解説
アクティブETFのメリットとデメリット
アクティブETFには大きくメリットとデメリットが2つずつあります。それぞれ詳しく紹介します。
アクティブETFの2つのメリット
アクティブETFには、「インデックスよりも大きなリターンを狙える」、「アクティブ運用の投資信託よりも流動性が高い」という、大きな2つのメリットがあります。
それぞれ詳しく説明します。
メリット1:プロのファンドマネージャーによる運用のため、市場平均を上回るリターンの可能性がある
アクティブETFはプロのファンドマネージャーによる運用のため、日経平均株価やS&P 500などの指数を上回るリターンを得られる可能性があります。
アクティブ運用はインデックスを上回る運用を目指しているため、より大きな利益を狙える可能性があるのはアクティブETFの最大のメリットになるでしょう。
メリット2: 一般のアクティブファンドと違い、流動性が高い
ETFはマーケットが開いている間であれば、リアルタイムでの売買ができるため、アクティブファンドに比べて流動性が高いです。
投資信託とは違い、リアルタイムで売買ができるので、すぐに換金ができ、次の投資に移れる流動性の高さは大きなメリットになるでしょう。
アクティブETFの2つのデメリット
アクティブETFには、運用報酬が高い、ベンチマークに負ける可能性もあるという2つのデメリットも存在します。
それぞれ詳しく説明します。
デメリット1:高い運用報酬:ファンドマネジャーがベンチマークを上回るように運用するため、その分運用報酬も上がる
アクティブETFは一般的にパッシブETFに比べて運用報酬が高いです。
なぜなら、ファンドマネージャーが日経平均株価やS&P500などのベンチマークを上回るように運用するため、その分コストがかかるからです。
パッシブETFに比べて高いパフォーマンスが期待できる一方、運用報酬が高い傾向にあるのはデメリットになってしまうでしょう。
デメリット2:市場平均を下回るリスク:ベンチマークに必ず勝てるわけではない
アクティブETFは、ファンドマネージャー独自の運用により、市場平均を上回るパフォーマンスを目指しています。しかし、必ずしもベンチマークに勝てるわけではありません。
中にはベンチマークを大きく下回る場合もあるため、注意が必要です。
アクティブETFの銘柄紹介
日本では2023年9月にアクティブETFが解禁されたばかりなので、まだまだ取り扱いの銘柄は少ないです。いくつか日本で利用できる代表的な銘柄を紹介します。
SMT ETF日本好配当株アクティブ(銘柄コード:170A)
出所:WealthForce
SMT ETF日本好配当株アクティブは、予想配当利回りが市場平均と比較して高いと判断される銘柄を中心に投資しています。
また財務健全性も重視しているのも特徴です。
主な組み入れ銘柄は、三菱UFJフィナンシャル・グループ、トヨタ自動車、三井住友フィナンシャルグループなどの大型銘柄になります。
年に4回の配当を目指しているため日本の大型株に投資をしたい方だけではなく、定期的な配当が欲しい方にもおすすめです。
政策保有解消推進ETF(銘柄コード:2081)
出所:WealthForce
政策保有解消推進ETFは、政策保有株式が一定割合以上を占める企業に幅広く投資し、投資先企業の経営改善に伴う株価上昇を狙っているETFです。
メガバンクや東京エレクトロンデンソーなどが主な銘柄になっています。
政策保有株とは企業が他社との営業上の関係などを構築・維持するために保有している株式のことです。
政策保有株には経営が安定するメリットがありますが、流動性が薄れるとして近年批判が多く、企業の多くが解消を推進しています。
今後さらに解消が進めば価格の上昇が期待できるのではないでしょうか?
iFreeETF 米国国債7–10年(為替ヘッジなし)(銘柄コード:2015)
出所:WealthForce
iFreeETF 米国国債7–10年(為替ヘッジなし)は期間の異なる米国国債に投資をしているアクティブETFです。
為替ヘッジがないので米ドルの影響を受けます。
米国債は一般的に金利が下がると上昇しやすいです。
2024年9月からアメリカの金利が引き下がる可能性があるので、投資するタイミングとしては良いのではないでしょうか。
アクティブETFはNISAの成長投資枠で投資可能
アクティブETFの中でも、金融庁の認可を受けたものは、NISAの成長投資枠で投資することが可能です。通常、運用益には20.310%の税金が課せられますが、NISAであれば運用益が非課税です。運用益が上がれば丸々獲得することが可能です。
これからアクティブETFを運用するのであれば、非課税制度であるNISAの成長投資枠を利用するのがおすすめです。
ただし、今後もアクティブETFが上場したとしても、金融庁の認可を受けていなければNISAの対象外です。成長投資枠の対象商品は、一般社団法人日本証券協会がリストをまとめているため、そちらを確認しましょう。
まとめ
今回は2023年9月から解禁されたアクティブETFについて紹介をしました。
アクティブETFはパッシブETFのようにインデックスに連動を目指した運用ではなく、より積極的に運用をします。インデックスを下回ってしまう可能性もありますが、より高いパフォーマンスが期待できます。更にアクティブ投資信託と異なりリアルタイムに売買可能です。
日本ではまだまだ利用できるアクティブETFは少ないですが、ぜひこの記事をきっかけにしてアクティブETFに興味を持っていただければ幸いです。
投資のコンシェルジュ編集部
MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
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投資信託
投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品。 その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組み。 集めた資金をどのような対象に投資するかについては、投資信託ごとの運用方針に基づき専門家が行う。
信託報酬
投資信託を管理・運用してもらうための経費。投資信託を保有している間に投資家が支払い続ける費用。
アクティブ運用
アクティブ運用とは、投資信託を選ぶ際の運用手法の一つ(対義語:パッシブ運用)。比較のために用いる指標であるベンチマーク(日経平均やNASDAQなど)を上回る成績を目指す運用手法。アクティブ運用にはトップダウンアプローチとボトムアップアプローチという2つの手法が主に用いられる。トップダウンアプローチは市場全体を俯瞰して投資環境の予想から投資対象を決める手法で、ボトムアップアプローチは選択する企業に個別に調査や訪問をして投資対象を決める手法である。アクティブ運用はパッシブ運用に比べて高いリターンが望めるがその分リスクも大きいという特徴がある。
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パッシブ運用とは、投資信託を選ぶ際の運用手法の一つ(対義語:アクティブ運用)。比較のために用いる指標であるベンチマーク(日経平均やNASDAQなど)と同様の動きを目標とする運用手法で、組み入れ銘柄数は多くなる傾向がある。パッシブ運用はアクティブ運用に比べて販売手数料や信託報酬などのコストは安くて済むが、リスクが分散される分、リターンも小さくなるという特徴がある。