遺留分を放棄したい場合の手続きは?
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2025/04/04 14:13
男性
50代
遺留分を事前に放棄することは可能でしょうか?手続きや必要書類、注意点などについて詳しく知りたいです。
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
遺留分は相続開始前に限り、家庭裁判所の許可を得ることで正式に放棄することができます。この制度は、特定の相続人に財産を集中させたい場合や、円滑な事業承継を図りたい場合などに活用されることがあります。ただし、遺留分放棄は一度成立すると、将来的に遺留分を請求する権利が完全に失われるため、慎重な検討が必要です。
手続きの流れとしては、遺留分の権利を持つ相続人(申立人)が、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に「遺留分放棄許可申立書」を提出することから始まります。放棄の理由としては、相続関係の円滑化や、生前贈与などの代償措置の受領といった、合理的な事情を記載することが求められます。また、被相続人の同意があるかどうかも審査に影響を与える要素となります。
必要書類としては、申立書のほか、申立人と被相続人の戸籍謄本、本人確認書類、収入印紙(通常800円程度)などが求められます。裁判所は提出された内容を確認し、場合によっては当事者への事情聴取を行ったうえで、遺留分放棄が合理的かどうかを判断します。手続きには通常1〜2か月程度かかります。
注意点として、遺留分放棄は被相続人が存命中に限って申立てが可能であり、相続開始後には受け付けられません。また、口頭や書面での意思表示だけでは法的な効力を持たず、必ず家庭裁判所の許可を得る必要があります。さらに、放棄の背景にある代償措置の内容が不十分と判断されると、許可が下りない可能性もあるため、事前の準備が重要です。
放棄が認められると、その人は相続開始後に遺留分の請求をすることが一切できなくなります。実質的に相続権を手放すことになるため、事前に十分な説明や合意形成を行い、必要に応じて弁護士や司法書士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
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遺留分
遺留分とは、被相続人が遺言などによって自由に処分できる財産のうち、一定の相続人に保障される最低限の取り分を指す。日本の民法では、配偶者や子、直系尊属(親)などの法定相続人に対して遺留分が認められており、兄弟姉妹には認められていない。遺留分が侵害された場合、相続人は「遺留分侵害額請求」によって不足分の金銭的補填を請求できる。これは相続財産の公平な分配を確保し、特定の相続人が極端に不利にならないようにするための制度である。
弁護士
弁護士とは、法律に関する問題について助言や代理を行うことができる、国家資格を持った法律の専門家です。 相続においては、遺産分割協議がまとまらない場合や、遺留分を巡るトラブル、遺言の無効主張、相続放棄の手続きなど、法的な対応が必要な場面で頼れる存在です。必要に応じて、調停や訴訟の代理人として交渉や手続きも代行してくれます。 相続人同士での意見の対立や紛争があるとき、また法的に複雑な問題が関係する場合には、早い段階で弁護士に相談することでトラブルを最小限に抑えることができます
司法書士
司法書士とは、不動産の名義変更や会社設立などの登記手続き、さらには裁判所に提出する書類の作成などを専門に扱う法律の専門家です。 相続の場面では、相続登記(不動産の名義変更)を代行したり、家庭裁判所への遺産分割調停申立書や遺言書の検認申立書などの作成を支援したりするなど、法的手続きをスムーズに進める役割を担います。 また、成年後見制度の申立てや、商業登記(会社役員変更など)にも対応できるため、相続以外の場面でも幅広くサポートを受けられます。特に相続に関する不動産がある場合、登記の専門家である司法書士の力は欠かせない存在です。
遺留分放棄
遺留分放棄とは、本来もらえるはずの最低限の相続分である遺留分を、相続が始まる前に放棄することをいいます。これを有効にするためには、家庭裁判所の許可を得る必要があります。 遺留分放棄の手続きは、被相続人が生存している間に、相続人となる人が家庭裁判所に対して申立てを行う形で進められます。申立てには、戸籍謄本や財産資料などの書類とともに、なぜ放棄するのかという理由を説明する必要があります。裁判所は、放棄が本人の自由意思に基づいており、著しく不利益にならないかどうかを審査します。 遺留分放棄が許可されやすいのは、たとえば事業承継や不動産の集中承継など、相続財産を特定の人にまとめる必要があり、放棄する人に対して生前贈与やその他の利益が与えられているケースです。相続人間で合意が取れており、放棄が合理的であると判断される場合は、許可される可能性が高くなります。 一方で、無理やり放棄させようとしていたり、放棄する人に著しい不利益が生じたりする場合、または放棄の理由が不明確な場合などは、家庭裁判所が許可しない可能性があります。 遺留分放棄は一度許可されると取り消すことができないため、慎重な検討と十分な準備が必要です。生前の相続対策の一環として有効な手段ですが、家庭裁判所の判断が必要であることから、専門家のサポートを受けながら進めることが望ましいでしょう。
戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)とは、日本における家族関係を公的に証明する書類で、本籍地の市区町村役場で管理・発行されています。 相続手続きでは、誰が法定相続人であるかを確認するために必要不可欠な書類です。被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍をすべて取得することで、配偶者・子ども・親・兄弟姉妹など、関係する相続人を明らかにできます。 戸籍は複数の場所に分かれていることもあるため、「戸籍の取り寄せ」は相続手続きの最初のステップとして重要です。
収入印紙
収入印紙とは、国に手数料や税金を支払う際に使用する印紙のことです。契約書や裁判所に提出する書類などに貼付することで、所定の手数料を納付したことを証明します。 たとえば、遺留分放棄の申立てを家庭裁判所に行う場合にも、収入印紙を貼って申立手数料を支払う必要があります。 用途によって金額が異なるため、提出先や書類の種類に応じて、適切な額の印紙を用意する必要があります。