
投資信託はやめとけ?初心者が失敗・大損しないための注意点と対策
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執筆者:
公開:
2025.02.07
更新:
2025.04.11
「プロに任せれば安心」と思って始めた投資信託で、いつの間にか資産が減っていた…。そんな失敗談、あなたの身にも起こりうるかもしれません。この記事では「投資信託はやめとけ」と言われる理由や、初心者がハマりがちな落とし穴、そして回避するための具体策を徹底解説。これから資産運用を始めたいあなたにこそ、知っておいてほしい「正しい向き合い方」をお届けします。
サクッとわかる!簡単要約
この記事を読むことで、投資信託に潜むリスクや注意点が明確になり、「なんとなく安心そうだから…」といった曖昧な理由で購入する危うさを回避できます。銀行の窓口やネットのランキングに惑わされず、自分の目的やリスク許容度に合った商品を見極める目を養えます。また、手数料や短期売買の落とし穴、分配型商品の注意点など、初心者が陥りやすい失敗の事例も紹介されており、「自分ならどうするか?」と具体的に考えるきっかけになります。知識ゼロからでも理解できるよう丁寧にまとめられているため、「投資信託を正しく選ぶ」力が身につき、安心して資産運用を始める自信につながるはずです。
投資信託が「やめとけ」「おすすめしない」と言われるのは大損する可能性があるから
「プロに任せれば安心」は危険:大損するリスクも
投資信託は専門家であるファンドマネージャーに運用を任せられるため、一見すると安心に思えます。しかし、「プロが運用しているから大丈夫」と過信するのは危険です。どれだけ優秀なプロでも常に利益を出せるわけではなく、市場が急変すれば大損するリスクがあります。
例えば、リーマンショックやコロナショックのように世界的な暴落が起きた場合、いくらプロでも損失を避けられないことがあります。運用を完全に人任せにしていると、こうした予想外の暴落で資産が半減し、「投資信託失敗地獄」とも言える状況に陥る可能性もあります。実際に「プロに任せきりにしていたらいつの間にか評価額が大幅減少していた…」という声もあります。
対策
- 投資信託を購入する際は、「プロ任せだから安心」と放置せず、自分でも投資先の内容や市場動向を定期的にチェックしましょう。どんな資産に投資しているのか把握し、必要に応じて方針を見直すことで、大損のリスクを減らせます。
銀行で勧められる投資信託はやめたほうがいい
銀行や証券会社の窓口で「こちらの投資信託がおすすめですよ」と勧められることがあります。一見親切なアドバイスに思えますが、注意が必要です。営業担当者の目的は必ずしもお客様の利益ではなく、自社が販売したい商品の営業ノルマや手数料収入である場合もあります。
そのため、銀行窓口で熱心におすすめされる商品は、必ずしも自分に最適とは限りません。例えば、購入時手数料が高かったり、自社で在庫を抱えている投資信託を優先的に紹介されるケースもあります。知識のないまま言われるがまま購入してしまうと、「こんなはずじゃなかった」と後で後悔するかもしれません。
実際、「銀行で投資信託を買ったけど損をした」という失敗談は少なくありません。だからこそ、「銀行でおすすめされた投資信託はやめたほうがいい」とも言われるのです。
対策
- 銀行の営業員の説明をそのまま鵜呑みにせず、提案された投資信託の投資対象やリスクの大きさ、手数料の水準を自分でも確認しましょう。そのうえで、「自分の資産運用の目的やリスク許容度に合っているか?」を冷静に見極めることが重要です。商品名をネットで検索して第三者の評価や目論見書をチェックする、他の商品と比較してみる、といったひと手間が「銀行の投資信託で損をする」事態を防ぎます。納得できない場合は、無理に購入せず一度持ち帰って検討するのが安全です。
ランキング上位の投資信託でも安心は禁物:損する可能性あり
インターネットや雑誌で「人気の投資信託ランキング上位」が紹介されていると、つい「みんなが買っているから安心」と思いがちです。しかし、ランキングの上位という理由だけで飛びつくのはおすすめしません。人気が高い投資信託には実績が優れているものもありますが、金融機関が販売促進のために集中的に売り出して一時的に購入者が増えているだけの場合もあります。
ランキングだけを頼りに商品を選ぶと、自分の投資目的やリスク許容度に合わない投資信託を掴んでしまい、損をする可能性があります。たとえば、安定重視で運用したいのにハイリスクなテーマ型ファンド(後述)を人気だからという理由で選んでしまうケースです。このような選び方では思うような成果が得られず、「やっぱり投資なんてやめとけ」と感じる結果にもなりかねません。
対策
- 人気ランキングに惑わされず、各投資信託の運用方針やリスク、手数料などの中身をきちんと確認しましょう。「なぜ人気なのか?自分の目的に合うのか?」を考えることが重要です。ランキング上位だからといって安心せず、あくまで参考情報の一つとして捉えるようにしてください。
手数料の高い投資信託を短期売買すると損しやすい
投資信託には購入時手数料(販売手数料)や信託報酬(運用管理費用)、信託財産留保額(解約時の手数料)といった各種手数料がかかります。これらのコストは運用期間全体で見ると決して無視できません。特に、購入してすぐ売るといった短期売買を繰り返すと、その都度手数料が差し引かれるため利益が出にくくなります。
例えば、購入時手数料が1%の投資信託を100万円分買うと、最初に1万円が手数料として差し引かれます。さらに運用中は毎日信託報酬がかかり、売却時にも信託財産留保額が発生する商品もあります。短期間で売買を繰り返すと、購入時・運用中・解約時のそれぞれでコストが発生し、せっかくの運用益が手数料で目減りしてしまいます。結果として、投資信託で損をするリスクが高まるでしょう。
また、投資信託の基準価額はリアルタイムに変動せず1日1回しか更新されません。株式のように市場が開いている時間にすぐ売買して利益確定…ということができないため、短期トレードには不向きです。思い通りのタイミングで売買できず、予想外の価格で約定してしまい損失を出すケースもあります。
対策
- 投資信託は基本的に長期運用に適した商品です。短期的な売買を前提とせず、長い目でコツコツ積み立てる方が向いています(後述する「つみたてNISA」などの活用)。実際、毎月の積立投資で資産形成を目指したのに、相場下落時に怖くなって解約してしまい結果的にうまく増やせなかった、という積立投資失敗の例もあります。短期売買で一攫千金を狙うより、手数料負担を抑えながら長期で運用する方が投資信託では成功しやすいでしょう。
投資信託のデメリットとリスク
投資信託という商品自体が持つ主なデメリットやリスク要因を整理しておきましょう。預金のような元本保証はなく、値動きによっては大きな損失を被る可能性もあるため、あらかじめ知っておくことが大切です。
元本保証がなく、価格変動の影響を受ける
投資信託は株式や債券、不動産など値動きのある資産に投資します。そのため基準価額が日々変動し、購入時より下がれば元本割れとなるリスクがあります。代表的なリスク要因としては以下のようなものが挙げられます。
価格変動リスク
市場の景気後退や企業業績の悪化などで、株価や債券価格が下落すれば投資信託の価値も下がります。
為替変動リスク
外貨建て資産に投資している場合、円高・円安によって評価額が増減する可能性があります。
信用リスク
投資先企業や国が破綻すると、債券の利息や元本が支払われなくなるリスクです。
金利変動リスク
金利が上昇すると既発債券の価格が下がるなど、債券を組み入れるファンドは基準価額に影響が及びます。
地政学リスク
戦争や政情不安など国際情勢の悪化によって、市場全体が混乱する可能性があります。
対策
- 投資対象やリスク要因をあらかじめ理解し、分散投資や資産配分を工夫しましょう。リスクはなくせないものの、商品を選ぶ際に「どの程度の値動きまでなら許容できるか?」を明確にすることが大切です。
短期的に大きな利益を得るのは難しい
投資信託は、複数の銘柄に分散投資することでリスクを抑える構造になっています。そのため、個別株や仮想通貨のように短期間で何倍ものリターンを狙うのは難しく、大きな値上がり益を短期で期待する人には物足りなく感じるかもしれません。
株主優待を受けられない
株式を直接保有していれば食品や割引券などの株主優待が得られる場合がありますが、投資信託を通じて間接的に株を保有していても、株主名簿に名前が載らないため優待の権利を受けられません。優待目的で投資を検討している方には不向きです。
損をしてしまう投資信託の活用法(失敗例)
次に、投資信託ならではの運用ミスや、商品選びを誤って損をしてしまう主なパターンを紹介します。せっかく投資信託を使うなら、以下のような失敗例は避けたいところです。
短期売買を繰り返す
投資信託は1日1回しか基準価額が更新されず、株式のようにリアルタイムで機敏に売買することが難しい商品です。にもかかわらず、デイトレードやスイングトレードの感覚で頻繁に売買すると、以下のようなデメリットが生じます。
-
手数料負担が増える
購入時手数料・信託報酬・解約時の手数料などが都度かかり、利益を圧迫します。
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期待した価格で約定できない 基準価額は1日1回だけ計算されるため、株式のように“希望する価格”で指値注文などを出しづらいです。
対策
- 投資信託は長期運用前提で活用すべき商品です。もし短期トレードをしたいなら、個別株やFXなどリアルタイムで売買できる商品を検討したほうが向いています。
長期分散投資に向かない投資信託を選ぶ
長期分散投資に向いていないタイプの投資信託を知らずに購入すると、「思ったより資産が増えない」「損をしてしまった」という結果につながりやすくなります。投資信託には数千種類もの商品があり、運用方針や投資対象は多種多様です。そのなかには長期運用とは相性が悪い商品もあるため、選ぶ際には注意が必要です。
毎月分配型の投資信託
毎月分配型の投資信託は、毎月分配金を受け取れることから特に年配の方などに人気がありますが、長期投資の観点ではデメリットが目立ちます。
信託報酬や販売手数料が高めに設定されており、長期間保有するとコスト負担が大きくなる傾向にある点には気をつけましょう。さらに分配金を出すたびに基準価額が下がるため、複利効果が得にくくなるのも長期の資産形成には不利な要素です。
もし配当や分配金を再投資してより効率よく資産を増やしたいと考えるなら、無分配型や低コストのインデックスファンドを検討するほうが適しています。
毎月分配型投資信託の詳しい解説はこちらの記事をご参照ください。
テーマ型投資信託
生成AIやEV、カーボンニュートラルなど、話題性の高い特定のテーマや業種に集中投資するテーマ型ファンドは、分散効果が薄くリスクが偏りがちです。
ブームの最中は好調でも、市場環境が変化してブームが去ると基準価額が急落する可能性があります。長期で資産を育てたい場合には、注目テーマに飛びつくだけでなく、ポートフォリオ全体でリスクを分散できているかを常に意識して商品を選ぶことが大切です。
テーマ型投資信託の詳しい解説はこちらの記事をご参照ください
償還期限を調べずに購入するリスク
投資信託のなかには、あらかじめ償還期限(運用終了日)が定められている商品があります。長期保有を前提に購入したにもかかわらず、数年後に自動的に清算されてしまい、思わぬタイミングで含み損が確定するケースも考えられます。
特に市場が低迷している時期に償還を迎えると、損をしたまま現金化されるおそれがあるため注意が必要です。長期投資を考えているなら、償還期限のない(無期限の)投資信託を選ぶのが無難です。購入前に目論見書やファンド情報をしっかり確認し、設定されている期限が自分の投資計画に合っているかどうかを必ずチェックしましょう。
投資信託の購入をやめたほうがいい人の特徴
以上のような投資信託のデメリットを踏まえると、投資信託の購入を控えたほうがいい(やめたほうがいい)人もいます。ここでは、投資信託が向いていない人の特徴をまとめます。自分が当てはまっていないか、確認してみてください。
短期売買で利益を上げたい人
「毎日のように売買を繰り返して利益を追求したい」という短期志向の人は、投資信託には不向きです。前述の通り、投資信託はリアルタイム取引ができず短期売買に適していませんし、大きな値動きもあまり期待できません。チャート分析を駆使して細かく売買したいタイプの方には投資信託はおすすめしないでしょう。
むしろ、そういった方は個別株式のデイトレードやFXなど、自分でタイミングを計って売買できる投資の方が向いています。企業の財務状況や経済ニュースをチェックするのが苦でなく、自分で銘柄選びをしたいのであれば、個別株や他の短期売買向きの投資手法を検討したほうが満足度が高いはずです。
株主優待を得たい人
資産運用の目的が株主優待にある人も、投資信託の購入は向いていません。前述したように、投資信託を通じて株式を持っていても株主優待は受け取れないからです。「優待品をもらって生活に役立てたい」「優待を集める楽しみを味わいたい」と考えている人にとって、投資信託はその目的を叶えてくれない投資商品です。
優待目当てであれば、最初から優待制度のある企業の株を買う方が良いでしょう。例えば、飲食店の優待券が欲しいならそのチェーンを展開する企業の株を、日用品の詰め合わせが欲しいならそういった優待を出している企業の株を直接保有するのが近道です。投資信託では自分が株主になっていないため優待を得られず、結局「銀行で投資信託なんか買うんじゃなかった」と後悔しかねません。
自分で運用状況を確認する手間を省きたい人
「投資にあまり時間をかけたくない」「一度買ったら放置したい」という方にとって、投資信託は個別株ほど手間はかからないものの、完全放置とはいきません。
プロが運用をしてくれるとはいえ、基準価額の推移や経済ニュースのチェックなど最低限の管理は必要です。
もし「運用の手間をほとんどゼロにしたい」なら、元本保証がある預貯金や個人向け国債を利用したり、専門家に丸ごと任せられるラップ口座を検討してみるのも手でしょう。
ラップ口座の比較に関してはこちらの記事をご参照ください。
実際、「考えるのが面倒なら定期預金でいい」という極端な意見もあります。つまり、ある程度の手間をかける余裕があれば投資信託は適していますが、一切チェックしたくない場合には、より安全で手間のかからない方法が望ましいと言えます。
資産運用における投資信託のメリット
ここまで投資信託のデメリットや注意点を中心に述べてきました。しかし、投資信託にはもちろんメリットもたくさんあります。少額から分散投資ができたり、自分のリスク許容度に合わせて商品を選べたりと、資産運用をする上で魅力的なポイントが多いのも事実です。投資信託の主なメリットや効果的な活用方法についても確認しておきましょう。
少額から分散投資を始められる
投資信託の大きな利点の一つは、少額の資金からスタートできることです。証券会社や銀行によっては100円や1,000円程度から投資信託を買える場合もあります。「いきなりまとまったお金を投じるのは不安…」という初心者でも取り組みやすいでしょう。
さらに、投資信託なら1つの商品で複数の資産に分散投資できます。例えば、全世界の株式に幅広く投資する投資信託を1万円分購入すれば、自分一人で世界中の株を何十社も買い集めたのと同じ効果が得られます。個人でこれをやろうとすると多額の資金が必要ですが、投資信託なら手軽に実現できるわけです。少額でも分散が効くため、初心者の資産運用の第一歩として有効な手段と言えます。
リスクを軽減できる
異なる値動きをする様々な資産に分散投資すれば、リスク分散効果によって価格変動リスクを抑えられるとされています。投資信託はまさにこの分散投資を簡単に実践できる商品です。国内株式だけでなく外国株式や債券、不動産(REIT)など複数の資産クラスに投資する投資信託を組み合わせれば、一つの市場が不調でも他がカバーしてくれる可能性があります。
例えば、日本円だけで貯金していると円安・円高で資産価値が大きく左右されますが、外国資産に投資する投資信託も持っていれば、円安時には外貨建て資産の評価額が増えるため相殺効果が期待できます。逆に円高時は海外資産の評価額は下がりますが、円の購買力は上がるので国内資産で補えるでしょう。
また、個別株投資だと投資先の企業が倒産した場合に資産がゼロになるリスクがあります。しかし投資信託は多数の銘柄に投資しているため、仮に一部の企業が経営破綻してもポートフォリオ全体への影響は限定的です。このように、投資信託を活用することでリスクを抑えながら資産形成を進めることが可能です。
個人では買いづらい投資対象にも投資できる
投資信託は非常に種類が豊富で、個人では直接投資しにくい対象にもアクセスできる点も魅力です。例えば、新興国の株式市場や数百億円規模の海外不動産プロジェクト、商品先物(コモディティ)など、個人ではハードルが高い投資先にも投資信託を通じて参加できます。
「インドの成長に期待して投資したい」と思っても、個人でインド株を調べて売買するのは容易ではありません。情報収集も難しく、現地市場の取引口座を開設するのも大変です。しかし「インド株式に投資する投資信託」であれば、運用会社がプロの知見でインド市場に投資してくれます。同様に、金や原油といった商品市場や海外の大型不動産ファンドなども、投資信託を通じて間接的に投資可能です。
このように、投資信託を使えば投資の選択肢が一気に広がります。個人では手が届かないようなマーケットにも参加できるため、自分の興味や見識を活かした多彩な資産運用が実現できます。
投資信託には多様な種類があり、投資方針やリスク許容度に応じて選べる
投資信託は商品ごとに投資対象や運用スタイルが異なり、その種類は非常に多岐にわたります。自分の投資目的やリスク許容度、運用期間に合わせて最適な商品を選べる柔軟性もメリットです。
投資対象で選ぶ
株式に投資する株式型、債券に投資する債券型、不動産に投資するREIT型、金や原油など商品に投資するコモディティ型など、何に投資するかでファンドを選べます。例えば「株式で成長を狙いたい」「安定の債券中心が良い」といった好みに応じて選択可能です。
地域で選ぶ
日本国内に投資する国内型、米国や欧州など先進国に投資する先進国型、新興国に投資するエマージング型、特定の国や地域に絞った地域特化型など、投資エリアで分類されています。例えば「米国株に集中投資したい」「全世界にまんべんなく投資したい」など地域の選択ができます。
運用方針で選ぶ
日経平均やS&P500など市場指数に連動するインデックスファンドか、ファンドマネージャーが独自の判断で運用成績の市場平均超えを目指すアクティブファンドか、といった運用方針の違いもあります。また、複数資産を組み合わせてバランスを取るバランスファンドなども存在します。
リスク許容度で選ぶ
同じ投資対象でも、安定重視で債券比率を高めた安定型, バランス型, 株式中心の積極型など、リスク・リターンの度合いで商品が分類されていることもあります。自分がどの程度の値動きまで耐えられるかに応じて商品タイプを選べます。
このように選択肢が豊富なので、「自分にはどの投資信託が合っているんだろう?」と迷うかもしれません。しかし裏を返せば、あなたの投資スタイルにピッタリ合う商品が見つかる可能性が高いとも言えます。インデックス vs アクティブといった単純な二択ではなく、「自分の目的に合った投資信託」をじっくり選べる点は大きなメリットでしょう。
投資信託は「つみたてNISA」や「iDeCo」で活用しやすい
投資信託は、少額からの長期投資を支援する「つみたてNISA」や、老後資金づくりを目的とした「iDeCo」と特に相性が良い商品です。つみたてNISAでは年間40万円までの積立が非課税となり、初心者でも毎月少額をコツコツ投資して長期的に資産を増やしやすい点が魅力です。
NISAの仕組みについてはこちらの記事をご参照ください。
また、iDeCoでは投資信託以外に定期預金なども選べますが、運用益非課税や拠出時の所得控除といったメリットを活かして効率的に資産を育てられます。こうした税制優遇制度を上手に利用することで、投資信託をより有利な条件で運用できるのが大きなメリットです。
この記事のまとめ
投資信託は初心者にとって取り組みやすい反面、正しい知識と判断力がなければ思わぬ損失を招く商品でもあります。「どの商品を選べば良いのか」「自分に合う運用スタイルがわからない」と迷ってしまったとき、最も確実なのは、資産運用の専門家に一度相談してみることです。自分では気づけないリスクや偏りを客観的にアドバイスしてくれ、納得感を持って一歩踏み出せるサポートを受けられます。相談することで、自分に合った投資方針やNISA・iDeCoの使い方まで見えてくる可能性も。情報収集だけでは不安が残る方は、専門家との対話で“迷い”を“自信”に変える第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

金融系ライター
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,000記事以上の執筆実績あり。
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投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めた資金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する金融商品です。運用によって得られた成果は、各投資家の投資額に応じて分配される仕組みとなっています。 この商品の特徴は、少額から始められることと分散投資の効果が得やすい点にあります。ただし、運用管理に必要な信託報酬や購入時手数料などのコストが発生することにも注意が必要です。また、投資信託ごとに運用方針やリスクの水準が異なり、運用の専門家がその方針に基づいて投資先を選定し、資金を運用していきます。
ファンドマネージャー
ファンドマネージャーは、投資ファンドの運用を担当する専門家です。彼らは投資家から集めた資金を管理し、株式、債券、不動産など様々な資産に投資してリターンを生み出す責任を持っています。ファンドマネージャーの主な役割は、市場の分析、投資戦略の立案、資産の選定と配置、リスク管理、そしてファンドの全体的なパフォーマンスの最適化です。 ファンドマネージャーは、経済情勢、業界動向、企業の財務健全性など幅広い知識が要求されるため、金融市場に関する深い理解と分析能力が必要です。彼らの投資判断は、ファンドの成績に直接的な影響を及ぼすため、投資家からの信頼を獲得することが非常に重要です。 また、ファンドマネージャーは投資家とのコミュニケーションも担当し、投資戦略の説明、成績報告、市場の見通しの提供などを行います。投資ファンドの成功は、ファンドマネージャーのスキルと経験に大きく依存しており、そのため彼らは投資業界において中心的な役割を果たしています。
元本保証
元本保証とは、投資や預金において、満期まで保有すれば最低でも投資した元本が保証される仕組みを指します。銀行預金や一部の保険商品などが該当し、元本が減るリスクを抑えられるため、安全性を重視する人に向いています。しかし、元本保証がある商品は一般的に利回りが低く、インフレによる実質的な購買力の低下を考慮する必要があります。
分散投資
分散投資とは、資産を安全に増やすための代表的な方法で、株式や債券、不動産、コモディティ(原油や金など)、さらには地域や業種など、複数の異なる投資先に資金を分けて投資する戦略です。 例えば、特定の国の株式市場が大きく下落した場合でも、債券や他の地域の資産が値上がりする可能性があれば、全体としての損失を軽減できます。このように、資金を一カ所に集中させるよりも値動きの影響が分散されるため、長期的にはより安定したリターンが期待できます。 ただし、あらゆるリスクが消えるわけではなく、世界全体の経済状況が悪化すれば同時に下落するケースもあるため、投資を行う際は目標や投資期間、リスク許容度を考慮したうえで、計画的に実行することが大切です。
信用リスク
信用リスクとは、お金を貸した相手や投資した企業・国などが、何らかの理由で約束通りに返済や利息の支払いをしてくれなくなる可能性のことを指します。たとえば、企業が倒産したり、国が財政危機に陥ったりすると、債券などの投資商品から予定していた収益が得られなくなる恐れがあります。これが信用リスクです。 信用リスクの高い相手に対しては、一般的に高い利回り(リターン)が設定されますが、その分リスクも大きくなります。資産運用においては、リターンだけでなく、このような信用リスクをしっかりと見極めることが、安定した投資のためにとても重要です。
金利変動リスク
金利変動リスクとは、市場の金利が上がったり下がったりすることで、保有している金融商品の価値や収益が変動する可能性を指します。 たとえば、固定金利で運用される債券は、金利が上昇すると「新規に発行される債券の利回りが高くなる」ため、すでに持っている債券の魅力が相対的に低下し、価格が下がりやすくなります。逆に金利が下がると、その債券の利回りが相対的に高くなるため、価格が上がることが多いです。 このように金利変動によって資産の評価額が変わるリスクは、特に債券を保有しているときに大きな影響を受けますが、株式や不動産投資信託(REIT)なども金利の動向によっては価格が変化しやすくなるため、資産運用を行ううえで広く意識する必要があります。 金利は中央銀行や政府が行う金融政策、景気の動向などによって動くため、長期投資や債券投資を考えるときは、金利の先行きや金融政策に注目することが非常に大切です。たとえば、金利が上昇する局面では保有債券の価格下落リスクに備え、運用計画を見直す必要があります。一方、金利が下がる局面では債券価格が上昇する可能性があるものの、再投資できる利回りが低下するといったデメリットもあります。 こうした金利変動リスクを理解し、将来のリスクとリターンを見比べながら投資対象を選んでいくことが、資産運用で成果を上げるためのポイントです。
為替
為替とは、取引において、現金を用いる代わりに、手形・証書・小切手などを用いて取引を済ませる方法。為替は内国為替と外国為替に分けることができ、前者は同一国内における取引を現金ではなく為替によって行うもの、後者は海外との間での取引を為替によって行うものを指す。また、外国為替は外国為替相場での為替レートを指す言葉として使われることもある。
地政学リスク
地政学リスクとは、国家間の対立、戦争、政情不安、貿易摩擦など、政治的な要因によって金融市場や経済に影響を与えるリスクのことを指します。たとえば、中東の紛争や米中関係の悪化、ロシアによるウクライナ侵攻などが該当します。こうしたリスクが高まると、株式市場が不安定になり、安全資産とされる金(ゴールド)や国債に資金が流れる傾向があります。原油価格や為替相場にも影響を及ぼすことがあり、資産運用を行う際には、こうした地政学的な動きにも注意を払うことが重要です。
アクティブファンド
アクティブファンドとは、運用のプロであるファンドマネージャーが、市場の平均を上回るリターンを目指して積極的に銘柄を選んで運用するタイプの投資信託のことです。 具体的には、独自の分析や調査にもとづいて、将来性があると見込まれる企業や、割安と判断される株式などに投資を行います。こうした運用には高度な専門知識と時間が必要となるため、同じ投資信託でも市場平均への連動を目指す「パッシブファンド」より運用コスト(信託報酬など)が高めになる傾向があります。しかし、その分大きなリターンを狙える可能性もある点が魅力です。 ただし、アクティブファンドだからといって必ずしも市場平均を上回るとは限らないことに注意が必要です。投資判断がうまくいかなかった場合は、損失が出たり、パッシブファンドに劣る成績となったりすることもあります。 投資初心者の方は、ファンドマネージャーの運用実績やファンドの方針、運用コストなどをよく調べたうえで、自分の投資目的やリスク許容度に合った商品を選ぶことが大切です。購入前に「過去の運用成績」や「運用レポート」を確認し、アクティブファンドの特徴を理解してから投資を始めましょう。
インデックスファンド
インデックスファンドとは、特定の株価指数(インデックス)と同じ動きを目指して運用される投資信託のことです。たとえば「日経平均株価」や「TOPIX(東証株価指数)」などの市場全体の動きを示す指数に連動するように設計されています。この仕組みにより、個別の銘柄を選ぶ手間がなく、市場全体に分散投資ができるのが特徴です。また、運用の手間が少ないため、手数料が比較的安いことも魅力の一つです。投資初心者にとっては、安定した長期運用の第一歩として選びやすいファンドの一つです。
償還
償還とは、債券の満期到来時に発行体が投資家に対して元本を返済することを指します。例えば、10年満期の債券であれば、10年後に元本が返金されます。債券の発行元が満期までの間に利息を支払い、償還時に元本を返済することで投資家は利息収益と元本の返金を得ます。ただし、償還には発行体の信用力が影響し、デフォルトリスクが存在する場合があります。
リスク許容度
リスク許容度とは、自分の資産運用において、どれくらいの損失までなら精神的にも経済的にも受け入れられるかという度合いを表す考え方です。 投資には必ずリスクが伴い、時には資産が目減りすることもあります。そのときに、どのくらいの下落まで冷静に対応できるか、また生活に支障が出ないかという観点で、自分のリスク許容度を見極めることが大切です。 年齢、収入、資産の状況、投資経験、投資の目的などによって人それぞれ異なり、リスク許容度が高い人は価格変動の大きい商品にも挑戦できますが、低い人は安定性の高い商品を選ぶほうが安心です。自分のリスク許容度を正しく理解することで、無理のない投資計画を立てることができます。
ポートフォリオ
ポートフォリオとは、資産運用における投資対象の組み合わせを指します。分散投資を目的として、株式、債券、不動産、オルタナティブ資産などの異なる資産クラスを適切な比率で構成します。投資家のリスク許容度や目標に応じてポートフォリオを設計し、リスクとリターンのバランスを最適化します。また、運用期間中に市場状況が変化した場合には、リバランスを通じて当初の配分比率を維持します。ポートフォリオ管理は、リスク管理の重要な手法です。
REIT(Real Estate Investment Trust/不動産投資信託)
REIT(Real Estate Investment Trust/不動産投資信託)とは、多くの投資家から集めた資金を使って、オフィスビルや商業施設、マンション、物流施設などの不動産に投資し、そこで得られた賃貸収入や売却益を分配する金融商品です。 REITは証券取引所に上場されており、株式と同じように市場で売買できます。そのため、通常の不動産投資と比べて流動性が高く、少額から手軽に不動産投資を始められるのが大きな特徴です。 投資家は、REITを通じて間接的にさまざまな不動産の「オーナー」となり、不動産運用のプロによる安定した収益(インカムゲイン)を得ることができます。しかも、実物の不動産を所有するわけではないので、物件の管理や修繕といった手間がかからない点も魅力です。また、複数の物件に分散投資しているため、リスクを抑えながら収益を狙える点も人気の理由です。 一方で、REITの価格は、不動産市況や金利の動向、経済環境の変化などの影響を受けます。特に金利が上昇すると、REITの価格が下がる傾向があるため、市場環境を定期的にチェックしながら投資判断を行うことが重要です。 REITは、安定した収益を重視する人や、実物資産への投資に関心があるものの手間やコストを抑えたい人にとって、有力な選択肢となる資産運用手段の一つです。
コモディティ
コモディティとは、世界中で取引される原材料や商品を指します。代表的なものとして、金・銀などの貴金属、原油・天然ガスなどのエネルギー資源、小麦・トウモロコシなどの農産物があります。投資対象としてのコモディティは、インフレ時のリスクヘッジや分散投資の手段として利用されることが多いです。市場の需給バランスや国際情勢によって価格が大きく変動するため、リスク管理が重要になります。
つみたてNISA
つみたてNISAとは、少額からの長期・積立・分散投資を応援するために、国が用意した税制優遇制度のひとつです。正式には「少額投資非課税制度(NISA)」の一種で、一定の条件を満たした投資信託やETFに積立投資をすることで、その運用益や分配金が最長20年間、非課税になります。 対象商品は金融庁が選定した長期投資にふさわしい商品に限られているため、初心者でも安心して始めやすい制度です。毎年の投資上限額が決まっており、計画的に資産を育てていくのに向いています。将来の資産形成を目指す人にとって、つみたてNISAは非常に有効な選択肢のひとつです。
iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。
ラップ口座
ラップ口座とは、資産運用を包括的に管理するための口座で、投資信託や株式、債券など複数の金融商品を一元的に扱います。顧客の運用目標に応じてポートフォリオが設計され、運用状況のモニタリングやリバランスが自動で行われます。 通常、手数料は「ラップフィー」として包括的に徴収され、個別の取引ごとに費用が発生することはありません。ラップ口座は、特に投資管理をプロに任せたい顧客や、資産運用をシンプルにしたい人に適しています。