【上級者向け】ポートフォリオ運用の理論を紹介
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執筆者:
公開:
2023.04.02
更新:
2024.09.30
機関投資家やロボアドバイザーは、ポートフォリオを意識した運用を行っています。
機関投資家は、目標のリターンを達成すると見込まれる投資手法の中でリスクが最小となるものを選択します。当然、「経験と勘」だけに基づいてポートフォリオを構築しているわけではなく、学術的に正しいと言われている理論に基づいてポートフォリオを構築しています。
この記事では、機関投資家やロボアドバイザーがポートフォリオ運用を行う際の拠りどころとなる理論について、特に著名なものを紹介します。
①現代ポートフォリオ理論(Modern Portfolio Theory/MPT)
1952年に米国のハリー・マーコウィッツ氏によって発表された理論です。MPTの内容は、ポートフォリオ全体の価格変動リスクは、個々の組入銘柄の価格変動リスク・組入比率・相関係数によって決まるというものです。
MPTは、発表から70年近く経った現在でも現役の理論であり、いくつかのロボアドバイザリーではこの理論をベースにアルゴリズムが作成されています。
一方、MPTの問題点として、推定が困難な各資産の期待リターンの水準が、資産配分の結果に与える影響が大きいことから、推定に用いるデータ期間や目標リターンを少し変えただけで、極端に異なる配分結果となることが挙げられています。
②ブラック・リッターマン法
ブラック・リッターマン法とは、ゴールドマン・サックスに所属していたフィッシャー・ブラックとロバート・リッターマンによって1990年に考案され、1992年に出版された数理モデルをいいます。
期待リターンの算定時に投資家の見通しを反映し、期待リターンを補正することで、投資家にとって最適なアセット・アロケーション(資産配分)を求める方法です。
投資家の見通しに基づく期待リターンを採用することで、配分結果は一定のものに収斂します。これにより、推定が困難な期待リターンがもたらす、配分結果のバラつきというMPTの問題点を克服することを目指しました。
③リスクベース・ポートフォリオ
リスクベース・ポートフォリオとは、長期的にはリスクに対するリターンは各資産において同じであるという仮定のもと、推定が困難な期待リターンを使用せずに資産配分を決定する方法を指します。具体的には、最小分散ポートフォリオ(MV法)やリスクパリティポートフォリオ(RP法)といったものが挙げられます。期待リターンを使用しないことで、MPTの問題点を克服することを目指しました。
④ブラック・リッターマン法を用いたリスクベース・ポートフォリオの拡張
リスクベース・ポートフォリオは、良好なパフォーマンスを現状出していますが、その半面、リスク水準や期待リターンを考慮できないという問題点があります。一方、ブラック・リッターマン法は、投資家の見通しを反映することができる半面、理論の前提の妥当性に議論があります。
そこで近年は、リスクベース・ポートフォリオに、ブラック・リッターマン法を組み合わせることで、期待リターンと見通しを導入し、両者の欠点を補完するという理論も研究されています。
まとめ
- 1952年に発表された現代ポートフォリオ理論(MPT)が、今なお一部のロボアドバイザーなどでは、アルゴリズムの裏側の投資理論として利用されている。
- MPTには理論的な問題点も指摘されており、ブラックリッターマン法やリスクベース・ポートフォリオなど、新しい投資理論も形成されている。
投資のコンシェルジュ編集部
MONO Investment
投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。
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機関投資家とは、株式や債券などを大口で運用する法人のこと。金融機関・保険会社・年金基金・共済組合・農協などが該当。
現代投資理論
ポートフォリオの選択や資産運用に関連した問題を取り扱う理論体系もしくは理論の総称。1950年代に米国のハリー・マーコウィツ氏が構築した分散投資理論を基盤とする。同氏は投資理論における先駆的な功績により、1990年のノーベル経済学賞を受賞している。
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