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中長期的・安定的な収益計上を目指す投資手法!機関投資家が実践する「ポートフォリオ運用」とは?

難易度:

執筆者:

公開:

2023.04.02

更新:

2024.10.09

基礎知識ポートフォリオ

目次

ポートフォリオ運用の基本的な考え方

ポートフォリオ運用が安定的な収益を生む理由

相関係数とは

金融商品と相関係数

資産ごとの相関係数

ポートフォリオ運用を実践方法3選

①投資信託

②ロボアドバイザー

③ファンドラップ・SMA

IFAは有力な相談相手

まとめ

ポートフォリオ運用とは、性格の異なった複数の銘柄へ分散して投資することにより、より安定した収益を上げるための投資方法を指します。

アセットクラス(株式/債券など)や、地域(国内/先進国/新興国など)を分散して投資をすることで、特定の銘柄のみに投資をするよりも、安定した収益をあげることができます。機関投資家は投資実行する際に、ポートフォリオを意識した投資を行います

「ポートフォリオ」は、元々書類や絵画を入れるカバンを意味する言葉ですが、書類や絵画と同様に、有価証券をカバンに挟んで保管されることが多かったことから、金融の世界では投資家が保有する金融商品群を指す言葉となりました。

ポートフォリオ運用の基本的な考え方

ポートフォリオ運用は、異なる種類の資産を組み合わせることで、安定的な収益を目指す投資手法です。そのため、どの資産をどれぐらいの割合で保有するべきか、という問題が重要になります。

この問題に答えるべく、金融の世界では様々な理論の研究がなされていますが、その理論は難解です。そのため、この記事では理論に関する細かな説明は省き、基本的な考え方についてお伝えしたいと思います。

なお、個別のポートフォリオ理論に関する説明は、こちらの記事で解説しております。ご興味ある方はぜひご覧ください。

ポートフォリオ運用が安定的な収益を生む理由

ポートフォリオ運用が安定的な収益を生む理由は何でしょうか?

それは、「値動きの異なる資産に分散投資をすることで、運用資産全体で考えたときのリスクが低下し、大幅な損失を計上する可能性が低下するため」です。

では、どうして値動きの異なる資産に分散投資をすると、リスクが低下するのでしょうか?

このことを理解する際に重要となる考え方が「相関係数」です。

相関係数とは

相関係数とは、2種類のデータの関係を示す指標です。

例えばxとyという2つのデータがあった時、xの値が増加するとyの値も増加するような関係性にあることを「正の相関」、xの値が増加するとyの値が減少するような関係性にあることを「負の相関」と呼びます。

相関係数は、-1以上1以下(-1≦r≦1)の範囲で値をとります。相関係数rが1(-1)に近づくほど正(負)の相関が強くなり、0に近づくほど相関が弱くなります。

関係性を表にすると下表のようになります。

相関係数rの値関係性
-1≦r≦-0.7強い負の相関
-0.7≦r≦-0.4負の相関
-0.4≦r≦-0.2弱い負の相関
-0.2≦r≦0.2ほとんど相関なし
0.2≦r≦0.4強い正の相関
0.4≦r≦0.7正の相関
0.7≦r≦1強い正の相関

金融商品と相関係数

金融商品の値動きにも、この相関係数の考え方を当てはめることができます。

例えば投資商品Aと投資商品Bの値動きについて相関係数を考えてみましょう。

もし、相関係数が1に近ければ、AとBの値動きは似たような動きになります。 逆に相関係数が-1に近ければAとBの値動きは逆の動きになります。なお、0に近ければAとBの値動きに関係性はないことを示します。

つまり、投資商品Aと投資商品Bの相関係数が高いと、投資商品Aが値下がりしたときに、投資商品Bも同様に値下がりしますが、投資商品Aと投資商品Bの相関係数が低ければ、投資商品Aが値下がりしたとしても、投資商品Bは一緒に値下がりすることはなく、逆に値上がりすることも考えられます。

このように、ポートフォリオ運用では、相関係数の低い金融商品(=値動きの異なる金融商品)を複数組み合わせることによって、個別の金融商品の値動きの影響を和らげ、資産価格の変動リスクを抑えながら安定した収益を計上することを実現しているのです。

資産ごとの相関係数

金融商品の値動きに関する相関係数は以下の通りです。

相関関係

※三菱UFJ国際投信の資料を元に弊社作成。eMAXISシリーズ各ファンド間の相関係数を表す。▲はマイナスを表す ※一般的に相関係数が-0.7≦r≦0.7であればリスク低減効果が高いといわれており、それに該当するものを色塗りしています。

例えば商品の特性ごとに、以下のような傾向が読み取れます。

・国内株式は、国内債券を除く金融商品と、正の相関性がある(0.492〜0.644) ・国内債券は、他の金融商品との相関性がほとんどない(▲0.203〜0.342) ・国内REITは、他の金融商品と、弱い正の相関性がある(0.246〜0.554)

また、地域ごとには、以下のような傾向が読み取れます。

・国内株式と海外株式には正の相関性がある(先進国株式:0.644、新興国株式:0.535) ・国内債券と海外債券には相関性はない(先進国債券:▲0.155、新興国債券:▲0.143) ・国内REITと海外REITには弱い正の相関性がある(先進国REIT:0.326、新興国REIT:0.434) ・海外の金融商品は種類問わず強い正の相関性がある(例えば先進国株式と先進国REIT:0.789等)

相関係数は2つのデータの関係を示す指標ですので、3つ以上の金融資産を組み合わせることが多い現実のポートフォリオ運用では、上記の例よりもさらに複雑な運用にはなりますが、基本的な考え方は変わりません。

ポートフォリオ運用を実践方法3選

ポートフォリオ運用を適切に実践するためには、ポートフォリオ運用に関する理論を理解する必要があります。しかし、ポートフォリオ理論は難解であり、一般の個人投資家が理論を実践することはそう簡単なことではありません。

そこで本項では、個人投資家がポートフォリオ運用を簡単に実践できる手法を3つご紹介したいと思います。

①投資信託

投資信託の種類の一つに、バランス型投資信託と呼ばれるものがあります。これは、株式や債券、REITなど複数の資産にバランスよく投資をするファンドのことです。

この投資信託を購入するだけで、ポートフォリオ運用と同様の投資効果を得ることが可能です。

また、従来は高い手数料が、バランス型投資信託を購入するハードルの一つとなっていましたが、近年は手数料の安いファンドも増えてきています。そのため、バランス型投資信託はポートフォリオ運用を実践する上で有力な選択肢の一つといえるでしょう。

②ロボアドバイザー

ロボアドバイザーとは、金融工学に基づき、ロボット(AI)が最適な資産運用に関するアドバイスを提供してくれるサービスです。投資初心者でもポートフォリオ運用を簡単に実践することができます。

ロボアドバイザーには助言型と運用型の2種類が存在します。

助言型は投資家の意向を踏まえて最適なポートフォリオを提案するサービスです。金融商品の売買は投資家が自分で行う必要がありますが、大手証券会社や金融機関が提供しており、無料で利用することができるという特徴があります。

一方、運用型は、投資家の意向を踏まえて最適なポートフォリオを提案し、金融商品の選定・売買・リバランスまで自動で実施してくれます。フィンテック系スタートアップが提供するサービスが多く、毎年1%前後の手数料が必要です。

③ファンドラップ・SMA

ファンドラップ・SMAはともに投資のプロに資産運用を一任できるサービスです。顧客の意向を元に、投資のプロが代わりにポートフォリオ運用を行ってくれます。最低投資金額が定められている・手数料が高いといったハードルはありますが、定期的なフォローを受けられるといったメリットも存在します。

IFAは有力な相談相手

IFA(Independent Financial Advisor)とは、証券会社から独立した立場で、資産運用に関するアドバイスをしてくれるアドバイザーのことを指します。

IFAには、ポートフォリオ運用のサポートに注力しているところも多く存在します。投資家一人ひとりの事情を踏まえて、ポートフォリオ運用を実施するべきかどうか、実施するならどのようなポートフォリオを構築するべきか等、メリットとデメリットをトータルで判断し、アドバイスをしてくれます。

IFAは、注力分野や最低取扱金額、手数料など多種多様ですが、自分に合ったIFAを見つけて、ポートフォリオ運用について相談してみることもおすすめです。

IFAを使ってポートフォリオ運用について相談してみたいけど、どのIFAがいいのかわからない、という方は、当編集部が厳選されたIFAを無料でご紹介いたします。ご興味ある方はこちらからご相談ください。

まとめ

  • ポートフォリオ運用とは、株式や債券、オルタナティブ資産といったアセットクラス(資産の種類)や、日本国内/国外といった地域を分散させて投資することで、個別の銘柄にだけ投資をするよりも、安定した収益をあげることを目指した運用手法。
  • ポートフォリオ運用は、値動きの異なる資産に分散投資をすると、運用資産全体で考えたときのリスクが低下する、という性質を利用している。
  • ポートフォリオ運用を簡単に実践する方法としては、主に投資信託、ロボアドバイザー、ファンドラップ・SMAが挙げられる
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投資のコンシェルジュ編集部

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投資のコンシェルジュ編集部は、投資銀行やアセットマネジメント会社の出身者、税理士など「金融のプロフェッショナル」が執筆・監修しています。 販売会社とは利害関係がないため、主に個人の資産運用に必要な情報を、正確にわかりやすく、中立性をもってコンテンツを作成しています。

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現代投資理論

ポートフォリオの選択や資産運用に関連した問題を取り扱う理論体系もしくは理論の総称。1950年代に米国のハリー・マーコウィツ氏が構築した分散投資理論を基盤とする。同氏は投資理論における先駆的な功績により、1990年のノーベル経済学賞を受賞している。

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オルタナティブ(Alternative)投資とは、代替投資という意味で、伝統的資産(債権や株式)以外の代替資産(不動産・コモディティ・ベンチャーキャピタル・貴金属・仮想通貨など)に対する投資のこと。オルタナティブ投資のメリットとしては、ポートフォリオに組み込むことによってリスク分散が期待できること、投資対象や手法の選択肢が増えることなどが挙げられる。

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ポートフォリオマネージャー

「ポートフォリオ」と呼ばれる株式や債券などを組み合わせた運用資産を管理する人のこと。

モデル・ポートフォリオ

投資家の判断材料として、実際の運用前に組入資産の国別比率や通貨別配分比率、さらに上位組入銘柄などを示したもの。 なお、運用成績のイメージをつかむために、ベンチマークの過去の一定期間におけるリターンやリスクと比較して例示する場合もある。 実際の運用とは異なる可能性があるという前提での参考データの扱いとなる。 これとは別に、資産運用における分散投資のアドバイスとして、投資家のリスク許容度に応じた複数の投信の組み合わせをいくつかにモデル化したパターンを指す場合もある。

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