専門用語解説
B3T2債
B3T2債(Basel III Tier 2債)とは、国際的な銀行規制であるバーゼルIIIに基づいて、金融機関が自己資本を補強するために発行するTier 2資本(補完的自己資本)に該当する債券のことです。Tier 2は、コア資本であるCET1(普通株式等Tier 1資本)やAT1債(その他Tier 1債)に次ぐ階層に位置づけられ、万が一の損失吸収能力を備える「セーフティクッション」として機能します。
B3T2債は、一般的な社債に比べて返済順位が低く、破綻時には元本の削減(ヘアカット)や支払い停止のリスクがあります。ただし、AT1債と比べると支払いの繰り延べや強制的な株式転換といった構造は原則含まれず、より明確な償還期限とクーポン支払い条件が設けられているため、リスクとリターンのバランスは中間的です。
投資家にとっての主な魅力は、相対的に高めの利回り。ただし、バーゼルIIIが求める条件(満期までの残存期間に応じた段階的な資本認定除外など)により、金融機関が途中で繰上償還(コール)を選択する可能性もあるため、実際の運用期間や収益に影響する点には注意が必要です。
金融機関の財務基盤を支える資本の一部として設計されていることから、B3T2債への投資は単なる利回り商品というよりも、銀行の健全性や資本政策への深い理解を前提とした判断が求められます。信用格付けやCET1比率、規制環境の変化など、複数の要素を総合的に見極めることが重要です。