個人年金保険とiDeCoは併用するべき?それともどちらかにするべき?
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2025/01/14 17:19
男性
40代
老後の年金がいくら受け取れるようになるのか不安なので、年金の対策となる様々な制度を現在調べています。 その中で、個人年金保険とiDeCoがそれぞれ所得控除もできることから有望と考えています。個人年金保険とiDeCoは併用するべきでしょうか? それとも、どちらか一方に留め、他の制度を使うべきでしょうか?
回答
株式会社MONOINVESTMENT / 投資のコンシェルジュ編集長
iDeCoと個人年金保険を併用することで、iDeCoで比較的積極的な運用を行いながら、個人年金保険で安定的な老後資金を確保するという、バランスの取れた資産運用は可能です。
しかし、併用する際は慎重な検討が必要です。まず、iDeCoは原則60歳まで引き出しができず、個人年金保険も中途解約すると元本割れのリスクがあります。そのため、両方に加入する場合は、長期的に保険料と掛金を継続して支払える余剰資金や経済的余裕があるかどうかを十分に検討する必要があります。
もし資金的な制約でどちらか一方を選ぶという場合は、まずiDeCoを優先することをお勧めします。その理由は、iDeCoのほうが税制優遇のメリットが大きいためです。
iDeCoは掛金の全額が所得控除の対象となり、運用益も非課税となります。一方、個人年金保険の所得控除には上限があり、運用益には課税されます。
また、年金として受け取る場合、双方雑所得となる点は一緒ですが、一時金として受け取る場合は、iDeCoであれば退職所得控除が受けられ分離課税、個人年金保険の場合は一時所得として総合課税の対象です。総合課税のほうが税額が大きくなる傾向にあるため、iDeCoのほうが有利と言えます。
そのため、限られた資金で効率的な資産形成を目指す場合は、まずiDeCoに注力し、さらに余裕がある場合に個人年金保険の追加を検討するという段階的なアプローチが賢明です。これにより、税制優遇を最大限活用しながら、無理のない範囲で老後資金を積み立てることができます。なお、投資経験が少ない場合や、運用に時間をかけたくない場合は、個人年金保険を選択することも一つの方法です。
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iDeCo(イデコ/個人型確定拠出年金)
iDeCo(イデコ)とは、個人型確定拠出年金の愛称で、老後の資金を作るための私的年金制度です。20歳以上65歳未満の人が加入でき、掛け金は65歳まで拠出可能。60歳まで原則引き出せません。 加入者は毎月の掛け金を決めて積み立て、選んだ金融商品で長期運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。加入には金融機関選択、口座開設、申込書類提出などの手続きが必要です。 投資信託や定期預金、生命保険などの金融商品で運用し、税制優遇を受けられます。積立時は掛金が全額所得控除の対象となり、運用時は運用益が非課税、受取時も一定額が非課税になるなどのメリットがあります。 一方で、証券口座と異なり各種手数料がかかること、途中引き出しが原則できない、というデメリットもあります。
個人年金保険
個人年金保険とは、公的年金だけでは不足しがちな老後資金を、自助努力で補うために設計された私的年金商品です。契約者が決められた期間にわたり保険料を払い込み、あらかじめ設定した開始年齢(60歳・65歳など)に達すると年金形式で受け取りが始まります。受取方法には、決められた年数だけ確実に受け取る「確定年金型」と、生存している限り終身で受け取れる「終身年金型」があり、どちらを選ぶかによって総受取額や万一の際の遺族保障の形が異なります。変額型や外貨建て型など、インフレ対応や為替分散を意識したバリエーションも登場しています。 大きな魅力の一つは税制優遇です。一定の要件(受取人が契約者本人または配偶者、払込期間が10年以上など)を満たす契約であれば、払込保険料は「個人年金保険料控除」として所得控除の対象になります。たとえば年間保険料が8万円の場合、所得税で最大4万円、住民税で最大2万8千円が控除され、課税所得を圧縮できるため実質負担を抑えながら老後資金を積み立てられる点がメリットです。 一方で注意すべき点もあります。途中解約時には元本割れが生じやすく、解約返戻金が払込総額を下回るケースが多いこと、固定利率型の商品ではインフレに追いつけない可能性があること、そして保険会社が破綻した場合でも保険契約者保護機構による補償は責任準備金の90%が上限となることです。また、税優遇制度としては個人型確定拠出年金(iDeCo)や新NISAも利用できるため、流動性・運用商品の自由度・掛金上限などを比較し、自分に合った組み合わせを検討する必要があります。 これらの特徴を踏まえると、個人年金保険は「計画的に積立を続け、税制メリットを生かしながら老後の生活費を補完したい」人に適した選択肢といえます。生活防衛資金や他の運用枠を確保したうえで長期的な資産形成の一環として活用すれば、老後のキャッシュフローに安定感をもたらす手段となるでしょう。